10話
10話
出会って6日目
今日は土曜だ。だから授業は半日で終了。
オレは土曜だろうと、屋上で寝転がっていた。
午後は補習があった………気がする。
それすらもサボっていた。
そんなことをしている内に、いつも赤音が現れる時間になっていた。
カッコイイ人探しを終えた赤音はオレの隣で同じように空を仰いでいた。
レンくん
どうしたんだ
色々、思い出しました。ラン先輩に振られたことも
兄貴がすまないな
レンくんは悪くないです。それで、ラン先輩が好きだった人ってアメリちゃんだったんですよ
やっぱりな
気づいていたんですか
最初に見たとき、兄貴好みの女だと思った
じゃあ、レンくんもアメリちゃんの方が………
いや、オレは
……
……
慌てて起き上がる。
いつの間にか。赤音の顔が正面にあった。
レンくんだけです
わたしを助けようと手を差し伸べてくれたのはレンくんだけでした
放っておけなかったんだよ
レンくんって捨て犬とか放っておけない人ですよね。雨に濡れている捨て犬に傘さしてあげたり。
どうして、わかった?
わかりやすいですよ
そうなのか……
わたし、屋上が大好きです
静かだし、平和だし、レンくんがいるから大好きなんです
補習を受ける男がここでサボっているなんて。
アメリが腰に手を当てて現れた。
遅れてアオも姿を見せる。
今日、集まったのはアメリの為だそ
オレはそんなアメリの前に「はにわ」のフィギュアを出す。
な、何ですかコレは
兄貴の形見。
位牌は持ち出せなかったからな。コレは兄貴が凄い気にいってたやつだ。
だからここに兄貴の念みたいなのはあると思うぞ。
そ、そうですか
何か見られてる?
アメリはビクビクと震えている。
側にいた赤音は両手を合わせて目を閉じる。
ラン先輩、わたしの所為でごめんなさい
……
でも一つだけありがとうございます。最後にステキな恋ができました
フラれたのに、ステキな恋なの?
……
ああああ?
どうした?
そこ、何かいる
何もいないだろ
疲れているのか?
そうだね、憑かれているんだろうな
………
……
何、首に何かがっっっ
大丈夫かよ
……
……
騒いでいるアメリを気にせず、赤音は「はにわ」フィギュアの頭を撫でた。
レンくんと会わせてくれてありがとうございます
お蔭で素敵な思い出が出来ました
?
……
何でもないです
そうか
何を告げたのかわからない。
眩しい笑顔にオレは口元を綻ばせていた。
何でみんな、見えないのよ
……
黒いのが居るのに
アメリは小バエでもいるのか、バタバタと動き回っている。
……
あの、お願いがあるの
そう赤音が声を上げる。
全員の視線が赤音に向けられた。
なんだ?
明日の夜、学校で遊びたいな
そんなことを言い出す。
オレたちは視線を交わして、全員同時に頷いた。
アイのワガママ聞いてやるよ
アイのお願いを私が聞かないと思っているの?
いいよ、付き合ってやるよ
やったー
………
そして、オレたちは運命の7日目を迎えるのだった。
to be continued