6話
6話
出会って4日目
いつものように、仰向けに寝転がり空を見る。
ドドドっと駆け込んでくる音に耳を傾けた。
……
赤音だった。
うう、今日もいないか
ここにいるのはオレだけだ。本当に屋上なのか?
はい、屋上です!
そういえば入学した頃なんですけど屋上には怖い魔物が出る~って噂があったのです。嘘でしたね。レンくんしかいませんね。
魔物……
オレか? 誰がそんな噂を……
絶対に屋上に行ったらダメだって、言われてたのです。
じゃあ、どうして屋上にって約束をしたんだ?危険な場所なんだろ。
でも、わたし見たかったのです。
この青空を、あの人と
そう言って手を広げて空を仰ぐ。
それじゃ、がんばらないとな
はい
今日はどこを探すんだ?
体育館裏なんてどうでしょう。呼び出しの定番です
体育館裏か
オレは息を飲んだ。
そこは、兄貴の遺体発見現場。
そんなところに赤音を連れて行ってはいけない気がする。
何より、オレが近づきたくなかった。
オレは兄貴の死を乗り越えていない。
赤音はオレの顔色が変わったことに気づいて眉根を寄せた。
レンくんどうしたの
何でもない、体育館裏はやめておこう
そうだよね、カッコイイ人が来る場所じゃないものね
そう言うと、
突然オレの隣に寝転がる。
?
寝転がって、両手を広げる、開いた掌を空にかざして笑ってみせた。
すごい、空が綺麗です
だろ? オレの好きな場所だ
それじゃあ、わたしもここを好きな場所にします
そして、あの人に見せるんだ
そう言って微笑む横顔が眩しかった。
眩しいのに遠い。
彼女の視線は兄貴に向けられている。
それを知ったオレの胸はどうしてか痛かった。
彼女の心を占める兄貴はこの世にいない。
だけど、オレの心を占める彼女もこの世にはいない。
今日は、お昼寝しながら考えますね
そうだな
オレたちは寝転がり空を仰いだ。
赤音と別れ帰路についたオレはポケットの紙切れを思い出した。
アオの名前と携帯番号が書かれてある。
オレはその番号に電話をかけた。
遅い
不機嫌な男の声がした。
to be continued