4話

出会って3日目

 帰宅したオレはアオから受け取った誰かの日記を開いた。

 書いたのは女。

 名前はアメリ。

 赤音と同じ一年生。

レン

これを開いたら、赤音との関係が崩れる気がする

レン

それでも、オレは……

 だが、放置しておくことも出来なかった。
 心の奥底が変な感じだ。
 アオから聞いた話を思い出す。



 ランが殺された翌日に赤音が殺されたということ。
 アオは犯人が同じ人物だと言っていた。
 偶然連続して起きた出来事ではないと、彼は考えている。



 その理由が、このノートにあるのだ。

 オレは意を決して、ノートを開いた。

     

✕月5日。
 アイから好きな人がいるのだと告白された。

 おかしい。私たちは相思相愛の関係のはず。

 私以外の誰かを好きになるなんて有り得ない。

 恋する乙女のようにうっとりする、

 この女の子は本当にアイなのだろうか。

 片思いの相手は神島ラン。
 
 委員会の先輩で、三年生だという。

 アイを惑わせた男の名前。

 消さなければ。

 私はアイを家に招いて薬を飲ませた。

 少しだけお腹が痛くなる薬。

 かわいそうだけど、明日だけだから我慢してほしい。

赤音

アメリちゃん、わたし恋をしたかもしれないんだ

アメリ

そ、そうなの?

赤音

委員会の先輩で、神島ラン先輩って言うんだ

アメリ

カッコイイの?

赤音

うん、カッコイイよ

アメリ

そう、じゃあ消さなきゃ。アイには相応しくないものね

   

✕月6日
 予定通りアイは病欠。

 放課後、体育館裏。
 
 私と神島ランは向き合っていた。

 気が付いたらラン先輩は死んでいた。

 何を話したのかは覚えていない。

 私は彼に言い放っていた。

 最後の最後まで、
 彼は軽蔑するように私を見ていた。

 気に入らない、
 だけど彼女を惑わせる存在は消えた。

 だから。安心してほしい。
 
 これで、二人。

 また二人で幸せな時間を過ごせる。

ラン

……っ

アメリ

アハハハハ

   

✕月7日

 アイと一緒に登校した。

 先輩の死にアイは嘆き悲しんでいた。

 アイは私が先輩を刺したことを知っていた。

 見ていたのだという。

 約束だからと、
 アイは放課後の学校に訪れていたのだ。

 そこで私がラン先輩を刺したところを見ていた。

 アイに冷たい目で見られることが耐えられない。
 私とアイはもみ合いになって、
 そのままベランダから彼女を突き落としていた。

 彼女の身体は花壇の花の中に埋まる。

アメリ

先輩のこと残念だったわね

赤音

ううううう

アメリ

大丈夫、私がいるよ

白々しいなぁ

赤音

アメリちゃんが、殺したんだよね

アメリ

え?

赤音

わたし、昨日は先輩と会う約束してたの

赤音

だから、放課後に来てたんだよ。そしたら、アメリちゃんが先輩のこと

アメリ

………うん、殺したよ。邪魔だったから

赤音

どうして、そんなことするの? 酷いよ

アメリ

酷いのはアイじゃない。アイには私がいるのに、どうして、どうしてあんな奴

赤音

わたし、アメリちゃんのことは好きだったよ、でも先輩に対する好きとは違っていた

アメリ

うるさいっ

赤音

もうアメリちゃんのことなんて、大嫌い

アメリ

うるさいっ うるさいっ

赤音

……っ

ーーーーっ

アメリ

あ……アイ

アメリ

フフフ

ハハハハハハ

    

✕月8日
 二日連続で生徒が死亡する騒ぎ。

 田舎の名も知られていない
 高校の名前がワイドショーに出現。

 あれは不幸な事故だった。

 アイがラン先輩に片思いをしていた、

 だから、悲しみに耐えきれずに自殺したのだろう。
 
 誰かが噂をする。
 
 その噂を流したのは私だ。

 マスコミに証言したのも私だ。

アメリ

かわいそうな、アイ

アメリ

そして、親友を失った可哀そうな私。みんな、同情してくれる

アメリ

みんな、私とアイが仲良かったことを知ってる。アイの親友は私。一番愛された親友は私

アメリ

ラン先輩には思いは届かなかった。やった、やったわ……

アメリ

あ……ああ

レン

何だよこれ

 

to be continued

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