握りしめていたノートを放り投げると、クリスは教室を出ようとして、
握りしめていたノートを放り投げると、クリスは教室を出ようとして、
クリス
セン
いつの間にか、ドアのところに立っていたセンデクミィルの姿に足を止めた。
君たちの勝ちだね
笑う。
……お前、最初からこうなるってわかってたな
そうだね、これ以外に方法はないだろうなって思ってたよ
てめぇ!
拳を固めて殴りかかろうとしたが、
危ないなあ
ひょいっと避けられた。
そのまま、センデクミィルの姿が宙に浮かぶ。
約束とおり、ここは引くよ
そして姿を消そうとするのを、
セン!
呼び止めた。
なんだい?
覚えておけ
人差し指を突きつける。
今はまだ、こいつには勝てない。それはわかっている。でも
俺はいつか、お前を倒して、フィリスを元に戻すっ!
……へぇ
センデクミィルの笑顔が歪む。
できるものなら、やってみな
やってやるさ
……楽しみにしているよ
そうして今度こそ、その姿を消した。
フィリス!
クリスが駆け付けた時、キリシアが水晶の塊の前でおろおろしているところだった。
クリス、これは一体!
すみません、センセ。俺たちには、他に方法が思い浮かばなかったんです
水晶の像は、当たり前だがフィリスの形をしていた。
その顔が、綺麗に微笑んでいて、それに少しだけ安堵した。
信じて、くれてるんだもんな
どこか、絶対に誰にも壊されない場所に保管しないと。そこらへん、軍に頼めますか?
え? ええ、それは
まだうまく事態を飲み込めていなさそうな顔で、キリシアが頷く。
それなら、あとは自分が頑張るだけだ。
泣きそうになるのを、大きく息を吸って耐えると、
絶対に、また会おう。フィリス
水晶の像にそっと触れると、祈るように呟いた。