七年後。

センデクミィル討伐を命ずる

 言われて差し出された辞令を、

クリス

はい!

 クリスは両手でしっかりと受け取った。

 廊下にでたクリスを待っていたのは、不機嫌そうな顔をしたキリシアの姿だった。

クリス

お久しぶりです

キリシア

そうね。あの事件のあと、出世できなくなった私よりも上の階級の新人さん、こんにちは

クリス

階級、本当に上だと思ってます?

キリシア

いやなんかあんまり。恋人の仇打ちっていう目的があるのに、大学入ってキャリアになるあたり、可愛くないわねー

クリス

センセ

キリシア

先生じゃないわよ

クリス

それをいうなら、こっちも仇打ちではありません。フィリスを元に戻すために、です

キリシア

ああ、そうね

クリス

それに、ある程度の階級じゃないと自由に動けないじゃないですか。軍のバックは欲しいですが、一兵卒として関係ないところでこき使われるんじゃ意味ありませんから。時間はかかりましたが、首席として大学を卒業して、キャリアとして入って、特例を受けるぐらいがちょうどいいんです

キリシア

そういう計算ができるところが可愛くないって、言ってんのよ。……大丈夫なの、伝説の片割れさん

 揶揄するように言われて苦笑する。

クリス

自分の身をかけてモンストロ・マンガース・マギオを封印した優秀な魔法の使い手の少女と、それを補佐した恋仲の少年。魔力が落ちこぼれだった少年でしたが、少女がいなくなったあと、急に魔法の腕をあげました。まるで、いなくなった少女の力を受け継いだかのように、ですか?

キリシア

本人に言われると寒いわね

クリス

でもまあ、事実ですから

 実際、知識面はもともとあったが、実技でも最優秀の成績をとれたのはその力のおかげなのだから。

クリス

フィリスのおかげでも、違っても、それがフィリスを助ける為になるならなんでもいいんです

キリシア

あ、そ

 一つため息。

キリシア

で、アテはあるの?

クリス

ひとまず、センを倒します。何年経っても絶対に

 シゲリータ学園の地下にひっそりと佇む恋人の像。ここに来る前に別れを告げてきた。次に会うときは、元に戻ったフィリスとだ。

クリス

センセ、力を貸してください

キリシア

だから、先生じゃないってば。つーか、力を貸すのは上からの命令だし。……それに責任の一端は私にもあるしね

 嫌そうに言われた言葉に、苦笑する。

クリス

じゃあ、行きましょうか

 歩き出す。モンストロ・マンガース・マギオを封印した少女の伝説を、壊すために。

クリス

もう少し、もう少しだけ待っていて。そしてまた、笑った君の顔を見せて

信じてるよ。

11)伝説と未来

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