眠井 朝華

えいや!

 スライムに向け、剣を振り下ろす。するとスライムは真っ二つになり、消滅した。
 戦闘の勝利を祝う音楽が流れる。それに合わせ私は決めポーズを取った。

チーシャ

なにをやっているんだい、君は

 チーシャのツッコミに私は現実に戻されたような気分になった。まぁ、実際にいるのは夢の中なのだけど。

 私は今、進くんという男の子の夢にいる。進くんが見ている夢はファンタジーRPGの世界。悪夢の正体はこの夢を支配する大魔王だ。

眠井 朝華

それで進くん、どうすれば大魔王の元にたどり着けるのかな?

進くん

それなんですけど……

 すると進くんが目を輝かせながら語り始める。

進くん

この先五十本のキーを集めるために五十体のボスと戦います。その後四天王と裏四天王、それに真四天王と戦い、魔王城に行きます。魔王城には再生ボスが五十体と真四天王との再戦、さらに魔王との戦闘後、全部で十五形態ある大魔王との決戦が待っています

 進くんの語った内容。それは私をア然とさせるには十分だった。

眠井 朝華

スライム一匹倒すだけで苦労したのに、ボスがそんなに?

進くん

正確にはボスが五十体。それから四天王と……

眠井 朝華

わかった、わかったから!

 堪らず進くんの言葉を遮る。それから私は改めて進くんに問いかけて。

眠井 朝華

……どうしてそんな面倒くさいことに?

進くん

これは将来、僕が作る予定の超大作RPGが元になっているからです!

 いよいよ頭が痛くなってくる。
 どうやらこの悪夢との戦いは当分続くみたいだ。

眠井 朝華

これこそ本当の悪夢だ

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