夢の中で、私は恐竜に追いかけられていた。

眠井 朝華

ちょっとこれ、どうなっているのよー!

 そうかと思ったら、次の瞬間私の体は宇宙に放り出された。

眠井 朝華

呼吸が、呼吸ができない!

チーシャ

大丈夫、ここ夢の中だから。そもそも音が聞こえている時点で、ここ本物の宇宙じゃないし

 チーシャの鋭い指摘に我に帰る。そうだ、ここは夢の中だった。

 どうしてこんな状況になったのか。簡単に説明すると、私たちはSF作家の夢の世界に入ったのだ。ここにも悪夢がいるらしいのだが、それ以前に夢の内容がぶっ飛び過ぎていて、すっかり混乱していた。

眠井 朝華

本当にこの中に悪夢がいるんでしょうね?

チーシャ

そのはずなんだけど、もしかしたら……

眠井 朝華

もったいぶらずに言って

チーシャ

もしかしたら、このぶっ飛んだ状況そのものが悪夢なのかもしれない

 それじゃあ私に一体どうしろと?
 すると今度はミサイルが飛んできた。と思いきや人工衛星が地球に落下し、地球では異常気象により国が一つ沈没した。

チーシャ

もうなんでもありだね

眠井 朝華

なんでこんな目に!

 恐竜に宇宙、ミサイルに人工衛星、おまけに異常気象まで。
 SF作家の発想は自由だ。だからこそ、

眠井 朝華

私はSFが嫌いだー!

 ミサイルの大爆発と共に、私の声がむなしく響いた。

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