御門駅前から徒歩十分。
それなりに利便性の高い、けれど築年数は少し古い小さなアパートの一室だ。辻谷さんに頼み込んで、格安で紹介してもらった。一般人が入居している、ごくごく普通の物件。
さすがに家電や家具までは用意できなかったため、部屋の中はがらんとしている。可哀想な境遇の女子高生を哀れんだ辻谷さんが布団一式を運び込んでくれたので、とりあえず寝るには困らないだろう。
メイは信じられないといった顔で、呆然と突っ立っている。その顔を見られただけでも、早起きした甲斐があった。
ふふふ。大人の力を思い知ったか、女子高生。いつまでも小娘一人に右往左往させられっぱなしの俺たちではない。