再び寮の中に戻ると、一つ大きく息を吐いた。
覚悟の深呼吸だ。
あの場所が今は果てしなく遠くに感じる。
戦場に向かう侍達はこんなかんじだったのだろうか。。。
よく考えると武器らしきものが無い…
相手が寝ていれば…
でも素手では…
と。
もう使えない携帯だと思ったら使えるではないか。
紐状のネックストラップ。
これさえあれば…
一回首を括ってしまえばやりおおせるだろう。
寝ていれば尚更楽だろうし
刃物を使ってだと
もしも奴が血を流すのなら
事後処理が大変だしな。
所詮幻影。
死体は消えるだろうから絞殺が一番楽だろう。
ガスも考えたが
もし引火したら部屋が吹き飛んでしまうし
他の人も巻き込んでしまうかもしれない。
毒殺。
牛乳に入れればほぼ確実だろうけど…
嘔吐物や吐血で
部屋が汚れてしまっては刺殺と変わらない。
ありとあらゆる方法があるが
目の前で生死の確認がとれるのと
クリーンなのはやはり絞殺だろう。
また廊下に乾いた音が響く。
一歩一歩部屋に近づいている。