犬のジョンを撫でながら
私は、近くのふかふかのソファーに腰を掛けた。
それで?
犬のジョンを撫でながら
私は、近くのふかふかのソファーに腰を掛けた。
てかなんでその服着てるの?
あ、ほんとだ
つい癖で・・・。
癖って怖いな
あなたたちのせい
ですけどね
じゃあ本題にいっていいか?
地味にシカトやがったな
俺ずっと夏子が好きだった。
今も好きかもしれない。
結城は優が現れたときのこと。
優に宣誓布告されたこと。
自分が情けなくて意気地なしだということ。
今までの粘りが嘘だったかのように
さらけ出すように話してくれた。
これが私と彼の間に生まれた信頼関係から
出された言葉だったらいいな。
大変だったんですね・・・
心なしに感想を述べているわけじゃない。
支えになってあげたいという気持ちが
言葉として出たものだ。
だろ?
なんて笑い飛ばすけど
本当に辛い思いをしたんだなって。
まだ彼は素直になりきれていない。
いや、なれないんだと思うと
胸が締め付けられるように痛かった。
でも、自分ばっかり責めないでほしい。
でもまだ続きが
ありますよね・・・?
うん、その通り。
まだ続きがあるんだ。
結城・・・
丁度、廊下の角でちょうど夏子とぶつかった。
驚いた様子でこちらを見るも、
すぐさま顔を下に向けた。
でも、遅い。
俺の目は瞳に涙をためた夏子の姿だった。
夏子・・・?
どうしたんだよ、一体。
なんでもないよ
泣きそうなのになんでもないなんて
おかしい。嘘に決まってる。
夏子、隠すな。
なにがあったんだよ
なんでもないってば!!
というと、驚いた顔をして口を押えて
気まずい雰囲気から
逃れるように走って去っていった。
追いかけようと夏子に向かって叫ぼうとした瞬間
急に手を掴まれる。
結城・・・
手を掴んだのは、当時の彼女だった。