優くんの呟きに疑問を覚えつつも
私は一礼して歩き出した。
また明日もここに来なくちゃいけないのか・・・
やっぱり送っていこうか?杏
杏って呼ばないでください
やっぱり顔、そっくりだなあ
何かいました?
ううん、じゃあね
優くんの呟きに疑問を覚えつつも
私は一礼して歩き出した。
また明日もここに来なくちゃいけないのか・・・
またストーカーが出たら
どうしよう・・・
きゃっ!
もしかしたら・・・なんて
不安は一瞬でとんでいった。
低木に隠れていたのは、
夏子さんと帰ったはずだった結城だった。
よっ!
夏子さんと帰ったんじゃないんですか
送ったよ?
けど、話したいことが
あったから来ちゃった
何の用です?
そういえば
付き合ってるって本当?
その時、彼の眉が少しだけ動いたのに気が付いた
ノーコメントで。
それでなんなんです
やっと心の決心がついたから
聞いてほしい。
本当ですか?
ああ、だから
家に寄っていかない?
分かりました。
話聞いたらすぐに帰りますから
はいはい。
というと、私の持っている荷物を
何も言わずに持ってくれた。
やっぱりこういうのには慣れているから
こんなこと自然とできるのだろうか
最近胸が痛いや・・・
優に散々言われた言葉が脳裏に響いている。
そんなんじゃない。
私は彼の母代わりになってあげたいだけ。
必死に何かに言い訳をしながら
私はそっと見上げ、結城の顔を見た。
その顔はどこか儚げで
でも彼の目に迷いはなかった。