緊急事態かも?
緊急事態かも?
畳の上にちまっと乗っているマグロの寿司……。
うーん。
柳之助は難しい顔でうなった。
そして、寿司を拾って食べた。
まだ新鮮だな。
もう一個を栄井さんが食べた。
ホントだ。
今、落ちてきたのかな?
鮮度を確かめるためだったのね?
いきなり食べるからビックリしたわ。
ラップ、かけさせてたよね。
それでもここにあるってことは……。
まずいかもしれない。
悠真が落としただけという可能性もあるが、最悪のパターンを想定しておこう。
そう言って、柳之助は外に行った。
殿村さん、悠真がどこにいるかわかる?
あ、ハイ。
確認してみます。
麻里亜はパソコンのキーボードをカシャカシャ打つ。
タイムマシンにいます。
でも……、あれ?
少し、ずれてますね。
タイムマシンの上にいないのか?
でも、周辺を同じ速度で飛んでいます。
今すぐ戻せる?
タイムマシン本体を戻すことは可能ですが、悠真くんが離れている場合、彼を置いて行ってしまうかもしれません。
悠真くんも一緒に帰ってくる可能性はありますが、念のため、予定通りの運航にしておいた方がいいでしょう。
そうだな。
私はこのまま悠真くんの監視を続けます。
そうしてくれ。
吉良、また寿司が落ちてきた。
鮮度はどうだ?
鮮度はさっきと変わらないが、マグロがちぎれてる。
途中でちぎれたってことか?
いや、手でちぎったっぽい。
そのままシャリの上に乗ってるし。
どういうことだ?
まあいい。
最悪、私が悠真を連れ戻しに行く。
どうやって?
戻ってきたヤツをすぐに出すことはできないぞ。
古いヤツだがもう一台ある。
メンテナンスしてくるから、ここは頼む。
わかった。
私も行くわ。
悠衣はここで彼らとデータ収集と解析をしてくれ。
でも……。
キミがいると、仕事にならないんだ。
二人きりだと、
違うこと考えちゃうからね。
冗談めかしてそう言うと、額にキスしてきた。
もう……。
悠真は絶対に助けるよ。
…………。
ちょっと……、惚れなおした………カナ?
いや、そもそもの根源はコイツなんだし、冷静になれ、私……。
それから皆、不眠不休で監視を続けたけど、特に変わったことはなかった。
悪いことは起きなかったけれど、良いことも起きなかった。
そして、タイムマシンが戻ってきた。