緊急事態かも?

畳の上にちまっと乗っているマグロの寿司……。

柳之助

うーん。

柳之助は難しい顔でうなった。
そして、寿司を拾って食べた。

柳之助

まだ新鮮だな。

もう一個を栄井さんが食べた。

栄井

ホントだ。
今、落ちてきたのかな?

悠衣

鮮度を確かめるためだったのね?
いきなり食べるからビックリしたわ。

栄井

ラップ、かけさせてたよね。
それでもここにあるってことは……。

柳之助

まずいかもしれない。

柳之助

悠真が落としただけという可能性もあるが、最悪のパターンを想定しておこう。

そう言って、柳之助は外に行った。

柳之助

殿村さん、悠真がどこにいるかわかる?

麻里亜

あ、ハイ。
確認してみます。

麻里亜はパソコンのキーボードをカシャカシャ打つ。

麻里亜

タイムマシンにいます。
でも……、あれ?

麻里亜

少し、ずれてますね。

柳之助

タイムマシンの上にいないのか?

麻里亜

でも、周辺を同じ速度で飛んでいます。

柳之助

今すぐ戻せる?

麻里亜

タイムマシン本体を戻すことは可能ですが、悠真くんが離れている場合、彼を置いて行ってしまうかもしれません。

麻里亜

悠真くんも一緒に帰ってくる可能性はありますが、念のため、予定通りの運航にしておいた方がいいでしょう。

柳之助

そうだな。

麻里亜

私はこのまま悠真くんの監視を続けます。

柳之助

そうしてくれ。

栄井

吉良、また寿司が落ちてきた。

柳之助

鮮度はどうだ?

栄井

鮮度はさっきと変わらないが、マグロがちぎれてる。

柳之助

途中でちぎれたってことか?

栄井

いや、手でちぎったっぽい。
そのままシャリの上に乗ってるし。

柳之助

どういうことだ?

柳之助

まあいい。
最悪、私が悠真を連れ戻しに行く。

栄井

どうやって?
戻ってきたヤツをすぐに出すことはできないぞ。

柳之助

古いヤツだがもう一台ある。
メンテナンスしてくるから、ここは頼む。

栄井

わかった。

悠衣

私も行くわ。

柳之助

悠衣はここで彼らとデータ収集と解析をしてくれ。

悠衣

でも……。

柳之助

キミがいると、仕事にならないんだ。

柳之助

二人きりだと、
違うこと考えちゃうからね。

冗談めかしてそう言うと、額にキスしてきた。

悠衣

もう……。

柳之助

悠真は絶対に助けるよ。

悠衣

…………。

ちょっと……、惚れなおした………カナ?

悠衣

いや、そもそもの根源はコイツなんだし、冷静になれ、私……。

それから皆、不眠不休で監視を続けたけど、特に変わったことはなかった。
悪いことは起きなかったけれど、良いことも起きなかった。

そして、タイムマシンが戻ってきた。

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