神谷優

単刀直入に言いますが・・・
僕のこと、嫌いでしょう?

こちらに投げかけられた質問は、
聞いているのではなく確認しているのだと思った

しかし、普通嫌われていると感じている人に
わざわざ聞くだろうか。

坂田結城

い、いや・・・別に

神谷優

振り向いてもらえない原因は
そういうところじゃないですか?

坂田結城

煽って本心を聞き出すつもりか?

神谷優

やだなあ、独占したいのに
上手く言葉の出ない臆病者に
教えてあげてるんじゃないですか

坂田結城

お前に分かるのかよ。
俺の気持ちが。

神谷優

そんなにタラタラしていると
僕が取っちゃうよ?

坂田結城

何が目的なんだよ、てめえ

神谷優

僕は幼馴染とか甘ったるい
微妙な関係を掻き乱したいだけ
見ているとイライラするんですよ

笑顔が一気に黒く見える。

この時初めて、
優が猫を被っているのだと気づいた。

坂田結城

もう夏子に近づくな。

神谷優

僕が近付かなかったら、
またあなたはいつも通りに戻るつもりですか

坂田結城

・・・っ

何も言い返せなかった。
夏子への独占欲はあるのに何も行動に移せない。
優のいう俺は「臆病者」であるのだろう。

言い返せなかった自分が情けなくて
優との格差を見せられているようだった。

神谷優

一つ言ってもいいですか?

坂田結城

なんだよ

神谷優

僕、夏子のこと
狙おうと思います。

衝撃的な一撃を食らった気がした。
殴られたように意識が一瞬だけとんだ。

きっと、此奴は冗談を言っているだけだ、って
この時の俺は心に言い聞かせていた。

坂田結城

てめえ、ふざけてんのか?

神谷優

これは、本当です。
夏子のこと好きになりました。

頭の中が一瞬真っ白になる。
そして、優の言葉が頭の中に響いている。

坂田結城

掻き乱したいとか
どうとかはなんなんだよ

神谷優

今の関係に浸っているようならば
僕が彼女のことを頂きますと
言っているんです。

こんなの俺には勝ち目はない。
嫌な予感がする。
きっと夏子は優のことを好きになる。

これは俺が今までのろのろと何もせず
夏子の隣にいた罰なのかもしれない。

坂田結城

そうかよ、好きにしろよ

素直になれない臆病者は最後まで
小さなプライドを守って、素直になれなかった。

神谷優

そうですか、ではこれから
よろしくお願いしますね

俺は初めて会って間もない優に負けたのだ。
そう、優は俺なんかよりも大人で
器のでかくて夏子の傍にふさわしい奴だ。

そして、俺は傷つけるのが怖くて
恋愛感情もない告白された女子と付き合って
「孤独じゃない」って思うんだ。

坂田結城

俺って最低だな

でも孤独を味わいたくないから
俺はまた繰り返す。

このことが母親の死亡につながるなんて
想像もしていなかった。

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