彼女はそう言うと、401号室の場所を記した紙を俺に渡し、そのまま小走りで去った。
彼女は一体何者なのだろうか。
もしかして、この横にいる変なおっさんが見えているのか。
様々な疑問が頭を過ぎるので、俺は実際に行って確かめる決意を固めた。
あなた、取り憑かれていますね……
え、どういう意味?
そのままの意味ですよ!
細川雄太さん
あれ? しかも俺の名前知って……
同じ高校ですから!
私、雄太さんのこと知っていたんですよ!
あ、そうなんだ
来週月曜日の放課後、401号室でお待ちしてますね!
え?
彼女はそう言うと、401号室の場所を記した紙を俺に渡し、そのまま小走りで去った。
彼女は一体何者なのだろうか。
もしかして、この横にいる変なおっさんが見えているのか。
様々な疑問が頭を過ぎるので、俺は実際に行って確かめる決意を固めた。
あの嬢ちゃん、いや、まさかな……
俺はそのまま日曜日をダラダラ過ごし、月曜日の朝を待った。
意外に妖精・白沢にヨーグルトが好評で、深夜に買い出しに行くハメになったのだが、今朝は何故か気持良く起きられた。
てかこのおっさんのいびき、超でかいな。
あ、おはよう! 奇遇ですな雄太くん
お、おはよう木葉ちゃん……
朝からいきなり金藤木葉に遭遇した。
先日の失敗がフラッシュバックしてまともに目を合わせられないのだが、不自然に思われるとまずいので一緒に登校することにした。
今日は待っててくれないの?
木葉は俺をからかう様に言った。
え、どうしよっかな……
あ、おはようございます! 雄太さん!
げっ!
突然、不思議系女子『河合百合乃』が現れた。
正直、今日の放課後までは会いたくなかったのだが……。
今日の約束、覚えていますよね?
あーはいはい、大丈夫です
よかった! ではまた放課後、よろしくお願いしますね!
あ、はい
会話を終えるとその不思議系女子は、前と同じく小走りで去って行く。
ほんとに何なんだよ彼女は。
伺う決意は変わらないが、出来ればあまり関わりたくないと思った。
あんたあの子と仲良かったの?
え!? ま、まあね
あの子、河合さんでしょ? 美人なんだけど、いつも401号室に籠もって呪文や何やら唱えてるって噂になってる不思議な子だけど
うーん、ますます行く気が……
こりゃ、何されるか覚悟しなきゃな
なんか約束してる様子だけど、気をつけなさいよ
ありがとう木葉ちゃん、ちょっと話すだけだし、多分大丈夫だよ!
多分な……
こうして放課後、俺はすぐに約束の場所に向かった。
担任の教師に聞いたのだが、401号室は元美術室らしい。
どうやら今はオカルト研究会というサークルが占領しているとの噂だが……。
ねえ白沢さん、俺なんとなく結末が読めてきたんですけど……
奇遇だな雄太、俺もだよ。だがこれで彼女に妖精が見えていた訳ではなかった事が判明したけどな
そうだね、引き返そうか
しかし、そんな俺たちの選択を阻止するかのように、教室の扉が強引に開かれた。
そこには少女が仁王立ちでどっしり待ち構えている。
この不思議系女子が……。
ようこそ! オカルト研究会へ!!
あ、ごめん! もう帰るわ!!
第六話『呪文』 終