人は人を裁けはしない・・。



 万物を有し物事を正確に判定する存在が居たとしても人間の”業”を裁けはしない。


 人が人で在るが故、自らを裁くのは自分のみ・・。

 
 今日も執り行われている裁判も人を裁くのではなく、公平な場で事件を裁く事によって、被告人または被害者、その事件に関わった人の心を洗い出し己に問うことが目的。
 そういう意味では裁判に参加する全ての人は罪人なのかもしれない・・己を説かせられる。


 そうした調和の場の中、導き出された結果にとして被告人を裁く事になるのだが。

 中には己の罪から逃げ、社会的には無罪のまま解放される者がいる、そうした人は・・ずっと自分の中で自分を殺し続けなければならない地獄が待ち受ける
(たぶん。
 
また、罪を感じない人は、更なる罪の果てに己を殺すのでしょう(自談。 

 そして己を裁けなくなった人には等しく”死”が待っているのだろう(所詮自談!!

 ”狼”がおばあさんの家を襲撃してから11日が過ぎた。

 1週間が過ぎた頃から監視の気配も無くなり、元の平凡な日々へと戻りつつあった。


 そんな中、赤ずきんは赤ずきんの家のから徒歩15分(赤ずきん計測)で行ける近さにある村を訪れていた。

村のおじいさん

ありがとよぉ赤ずきん!
この腰痛に効く薬があればしばらくはハッスルできそうじゃよ!!

赤ずきん

はいお大事に、けどいい年なんだから節度わきまえてハッスルしなきゃだめだよ。

村のおじいさん

あいよーー!

 こうして稀に赤ずきんが、おばあさんと母上が処方したお薬を届けに行くことがあり。

 いつもはノリや気分、赤ずきんの都合もあるのだが、今日は次いつ村を訪れることができるか分からなくなってきたので、今日の内に挨拶ついでに、この薬の配達を手伝うのだった。

赤ずきん

え~・・次は~・・。
ここから左に曲がり4軒目と。

やんちゃ少年

YO、赤いの!

赤ずきん

うえっ!?

 突如物陰から一人の少年が赤ずきんに体当たりをかました。

赤ずきん

YO、ガキンチョぉぉぉぉ!

 少しよろけながらも赤ずきんは体制をたてなおし、怪しい笑みを浮かべ、しっぺ返しの如く言葉を返した。

 
 衝突してきたのは、赤ずきんが来るたびちょっかいをかけてくるやんちゃな少年でだった。
 
 そこまで親密ではないが、彼にどつかれるのも村に来た場合の悪習といったところだろうか・・。

やんちゃ少年

ブハハハハ、そんなノロさ俺が捉えらるかよ。

コラーーッ!!

 運動が苦手な赤ずきんを横目に勝ち誇り笑っていたところ少年の母親の一喝が入る。
 ここまでが何時ものテンプレといったところ・・。

やんちゃ少年

げぇ!母さんっ!!

 もう、女の子に暴力はいけないと言ってるでしょう・・。
 ウチの子がいつもごめんなさいね。

赤ずきん

 いいんですよ、むしろこれが挨拶みたいになってるし。

 

やんちゃ少年

だよなぁ!!

調子にのらない!

やんちゃ少年

はーい・・。

赤ずきん

調子に乗らせてすまん少年・・。

 心の中で少年を伝わらないが謝罪する赤ずきん。

 

 話が変わるけど赤ずきん?

赤ずきん

なんでしょう?

 先日おばあ様が悪漢に襲われたと聞いたのだけれど、おばあ様は大丈夫?
 赤ずきんもそこに居合わせたみたいだけど。

赤ずきん

 グランドマザーは心配を余所に元気でピンピンですよ。
 私も心配して損していたとこです。

 それは良かったわ!

 ここに住む住人はあなた達”アルヴィドの魔女”味方よ!
 昔からずっとその知恵と薬に助けられてきたのですから。

赤ずきん

 こころ強いお言葉ありがとうございます!

 そういえば薬配達の途中よね、時間取らせてごめんね。

赤ずきん

いえいえ、とんでもないっ!

 ではまた、お母様にもよろしくね。

やんちゃ少年

じゃあな、赤ずきん!!

赤ずきん

ばいばーい!

 大きく手を振る少年とお母さんの親子を小さく手を振りながら見送る赤ずきんなのでした。

赤ずきん

 ”アルヴィドの魔女”の信用はこの地域に根強いものね・・。
 害があるのはやはり・・元々よそ者の私・・前、チカラも晒してしまったから・・。

 この”アルヴィド”で培われてきた魔女の信仰は盤石なものではあるけれど、”狼”はそれを無視して狙いを製薬技術を持つあばあさん、もしくはその血を引く母上に点けていた。

 しかし、赤ずきんはその話については聞いておらず
”狼”接触により”無のチカラ”を晒してしまう事で自分が狙われていたものと疑ってしまっていた。


 森の中で声をかけられ付きまとわれたりもした事・・襲撃後”狼”について聞くと、おばあさんと母上が赤ずきんを気遣う余りよそよそしい素振りすることも、そう思う一因になっている。

 
 「”狼”に狙われた自分はここに居ていいのだろうか・・。」と、そういう思いに辿りついてしまう。


 その疑念から気を逸らそうと様々な行動をしていた、人生に今までに無いアグレッシブな日々を”狼”襲撃から一週間を過ぎた辺りから赤ずきんは過ごしていたのだが。

赤ずきん

 そろそろ誤魔化してもいられない、母上とグランドマザーとも話し合わないと駄目ね。

 ここへ来て6年か・・ここに住む皆にも迷惑もかけられないしなぁ。

 そう呟き、赤ずきんは6年前この”アルヴィド”へ迷い込んできた時のことを思い出すのだった・・。


 自分が狙われてるという、赤ずきん視点からしてみいれば、自惚れ?という見解もできる赤ずきんの今の心境については、この6年前の出来事に起因しているのかもしれない・・。

 今回は短目にここまで、

 次回、時は遡り6年前へ・・。

第2話-【2】へ続きますぞよ・・。

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