鉄格子に囲まれた窓のない暗い部屋に、男の声が響く。
声に反応して暗闇の中で何かが、ジャラジャラと音を立てて動いた。闇から出てきたのは少年。
16歳くらいだろうか。
北欧系の端正な顔立ち、白い肌に黒髪がよく映える。長い前髪の間から青とも緑とも言い難い不思議な瞳がのぞく。
何とも不釣り合いなパーツ。しかしそれさえも、少年の容姿を引き立てているように思えた。
暴力的に美しい少年の風貌は、見る者の目も心も奪う。
声をかけた見張り役の男は、闇から出てきた少年を一目見て思わず生唾を飲み込んでいた。
男は眼を逸らしながら、忌々しげに少年の両手足の枷を外す。
自由の身になった少年は、男に見向きもせず決められた動きしかしないロボットのように歩きだした。