倒したその男は、マリーが敵対勢力に対するカードに使うらしい。

マリー

いいものが手に入ったわ。
うふふふふ

ユニ

……


笑顔のマリーがとても怖いと俺は思いました。まる。

さて、そこでようやく俺は一息をついたことになる。

ついカッとなって戦ってしまったが、今更ながらに手が震える。

あまり実践の経験は無いし、性格的なものもあってそういった物には抵抗があるのだ。

などと考えているとフィリアが近づいてきて、

フィリア

下僕、よくも私を邪魔だって言ったわね

ユニ

う、いえ、あの……


実際に周りに人がいると怪我をさせないようにとか、守らないとという気持ちになってしまうのだから、側にいられると困るのだ。

もう少しいい方を変えるべきだったかと今更ながら思った俺だけれど、そこで珍しく優しげにフィリアが俺に微笑んで、

フィリア

……怪我がなくてよかったわ。
思ったよりもずっと強いのね

ユニ

え、えっと、はい

フィリア

守って上げなくちゃと思っていたのが馬鹿みたいね。
心配してしまったわ。
うっかりかばってしまったし

ユニ

え、えっと、ごめんなさい

フィリア

別の謝る必要はないでしょう?
むしろ私がお礼をいうべきよね。
怪我を治してくれてありがとう


そこで優しげに微笑んだフィリアに、俺は一瞬目を奪われる。

同時に何かを思い出しかけるけれど、それは薄ぼんやりとして像を結ばない。

だがすぐにフィリアがにやりと笑い、

フィリア

でもこれだけ強ければ、下僕としてもっとこき使ってもいいわね

ユニ

え、いえ、あの……俺は大人しい草食系なのであまり過激なことはちょっと……

フィリア

そんなので、恋人が出来ると思っているの?

ユニ

!

フィリア

別にいいわよ女体化しても。
私が下僕を可愛らしく着飾って、遊ぶから

ユニ

! いえ、恋人を作るためなら頑張ります

フィリア

……


必死になって恋人を作るんだと俺が言うと、そこでフィリアが半眼になるもすぐに何かを思いついたらしく、俺を見てフィリアが“嗤った”。

フィリア

そういえば、下僕は、繊細で大人しくて清楚な女の子が好きなんだったかしら

ユニ

そ、そうですが、それがどうかしましたか?

フィリア

そんな子に恋人になってとお願いされたらどうする?

ユニ

速攻で頷きます


俺はそう答えた。

だがすぐに俺は嫌な予感を覚える。

目の前のフィリアが唇の端を更に上げ、

フィリア

男に二言はないわね?

ユニ

は、はい

そう言われて俺は頷く。

そのままフィリアはマリーの方に向かっていく。

と、そこでレイトが俺に話しかけてきて、

レイト

普段温厚なユニを怒らせると、怖いなと思わさせられたよ

ユニ

いや、別に俺はそこまで怒っては……

レイト

ははは。
それでさっき話していたが、どうも幼少期にユニとフィリアはあっているようだ

ユニ

そうなのか。
でも思い出せない

レイト

まあ、恋人になればどうでもいいか。
女体化からは逃げたいのだろう

ユニ

! 忘れていた

レイト

くくく、愚かだな、ユニ

ユニ

……そういうことを言うと、血をもうやらないぞ?

レイト

あー、確かにユニの血を吸っていないと僕も危険ではあったな。

レイト

今度から周りを注意しよう。
どうも僕も平和ボケしすぎている気がするし

ユニ

俺もだよ。
なんでこんなに簡単に攻撃を受けるんだか……そういった危険の少ない環境にいたからしかたがないけれどな

レイト

そうだな。
そういえばこれからどうする?
恋人探しか?

ユニ

それ以外に他にすることがあるのか?


そう問いかけるとレイトが少し黙ってから、

レイト

そもそも女体化の話は、ドワーフの謎な装置を起動させられるかどうか、と言った理由で必要なだけだろう?

ユニ

それはまあ……そうだけれど

レイト

だったらとりあえず一回挑戦して起動させてみたらどうなんだ?
今の状態でそれが出来れば恋人探しに猶予が出来るわけだし

ユニ

! それだ!
レイト、君のような親友を持って俺は嬉しい!

レイト

ははは、当然だな。
そして早く恋人を作らないと、周りにユニの恋人はフィリアですと言いふらして既成事実にするからな

ユニ

……前言撤回。
お前など親友ではない

レイト

だったら頼むから恋人を作ってくれ。
でないと女体化したお前の夫に僕がさせられるんだぞ?
僕だって切実なんだからな?

ユニ

う、わ、分かっているよ。
はあ、何処かに清楚で可憐な女の子はいないものか……


俺がそう嘆いた所で、フィリア達に俺達は呼ばれたのだった。

マリー

装置ですか?
いいですよ、試しても


とあっさり言われてしまった。

そしてフィリアも連れて行ってそこで装置を動かすらしい。

そんなわけで、俺達は神殿に向かうことになったわけだが、

マリー

ふふふ、とりあえずこの無謀な敵を縄で縛って荷物のようにして運ぼうかな

フィリア

一人で大丈夫そう?

マリー

人間一人くらいなら、私の羽で十分だわ


そう告げると共に、マリーの背から、対になる羽が5つほど出てきた。

全てが真っ白で、とても神々しい。

だが中身はアレである。

そう思っているとそこでレイトが蝙蝠に変身して、

レイト(蝙蝠ver

それじゃあ、ユニ、肩を貸してくれ

ユニ

……自分で飛ばないのか?

レイト(蝙蝠ver

だって、疲れるからな


とのことで、レイトはコウモリになり俺の肩に乗った。

そして俺はフィリアと箒に二人乗りするけれど、

フィリア

あーあ、これでもしかしたら一緒にいられるのも終わりか。
いや、下僕は下僕で私のものだから下僕でいいわね

ユニ

いえ、意味が分かりません

もしや俺はこれから先も、ずっとフィリアの下僕にさせられてしまうのだろうか。

せめてもっと違う方向にクラスチェンジできないかと思っていたのだけれど、

フィリア

ん? 恋人かペットになりたいの?

ユニ

せめてお友達はないのでしょうか

フィリア

嫌よ


の一言で、フィリアに俺は否定されてしまったのでした。

18、とりあえずは神殿に向かう事に

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