私の両親は魔法使いだった。
父は水魔法、母は発火魔法が使えた。
二人とも天才とは言われないまでも、それなりに優秀で近所では有名だった。
私は母と同じように発火魔法を中心に勉強した。
父はちょっと寂しそうだったけど、母はとても嬉しそうだった。
私の両親は魔法使いだった。
父は水魔法、母は発火魔法が使えた。
二人とも天才とは言われないまでも、それなりに優秀で近所では有名だった。
私は母と同じように発火魔法を中心に勉強した。
父はちょっと寂しそうだったけど、母はとても嬉しそうだった。
この子はきっと素晴らしい魔法使いになるわ!
おいおい、はしゃぎすぎだぞ
二人とも魔法は違うのにすごく仲が良くて、足りないところをお互い補っていこうと考えていた。
当時は魔法に対する誇りがそれぞれ強く、魔法ごとに連盟を作っていた。
おかげで、二人の結婚の時は周囲から猛烈な反対を受けた。
絶対に長続きしない。
違う属性と結ばれるなんて何を考えてるんだ。
しかし、二人はそれでも結婚し、娘である私を生んだ。
それから十数年後――――
「気球」が発表された。
まだ学生の魔法使いが国王から表彰!?
天才魔法使い・サジェス・エフォールとアルエット・コネッサンスによる合同研究…………
空を飛ぶ発明…………!
その知らせは私たち家族にも浸透した。
元々、魔法には限界があると感じていただけに、サジェスとアルエットの提示した「魔法の融合」は二人に衝撃を与えた。
どうした、シャグラン?
…………ねぇ、私たちもやってみない?
その「魔法の融合」を
それから間もなく、父と母は合同研究を始めた。
水魔法と発火魔法という、真逆の性質を持つだけに難航するかと思われたが…………
この前、近所の魔法使いの実験が失敗してちょっとした火事になったことがあったじゃない?
あなたも消火に協力した…………
ああ、結局住人が軽傷で済んだ事件だね
そう。そんな小さな出火でも消火に7,8人の水魔法使いが必要だったじゃない?
だからね、もっと少ないコストで消火できるようになれば、水魔法使いの苦労もきっと減ると思うの
低コストで消火…………
すごくいいと思う!早速やってみよう!
二人はまるで夢を語る子供のように楽しそうに実験の計画を立てていた。
私はまだ魔法も未熟だったし、危険だからということで一切研究にはかかわっていない。
それでも、幸せそうな二人を見ていると、なんだか心が温かくなって、同時に羨ましくなった。
そして、数日後――――
その日の昼間、私はいつものように学校から帰ってきていた。
力のコントロールがうまくいかず、マッチ棒を炎上させたことが悔しくて、研究の合間に母に教えてもらおうと思っていた。
お母さんとお父さん、今日も研究かな?
つい先日計画もたって、本格的な実験を始めると言っていた。
二人して笑顔で言うから、私もつい頑張ってと言って出てきてしまった。
だって、あまりに幸せそうだったから。
きっと、失敗なんかするはずないって――――
家の近くの曲がり角を曲がり、玄関まですぐというところで、熱を帯びた風がほんの一瞬顔を舐めた。
それが、私が覚えている最後の記憶だ。
気づいたら吹き飛ばされ、目の前が真っ暗になって、そして目が覚めたら病院にいた。
………………………………っ!!
あっ、目が覚めましたか?
ここはどこだろう?
確か、私は家に帰る途中で、その時に爆発に巻き込まれて……
そこで、ようやく思い出す。
両親は無事だろうか。
爆発に巻き込まれてたなら、怪我はしてないだろうか。
病室は?
それとも、奇跡的に巻き込まれてない?
あの……シャグランとレゾン・スーリールは入院してますか?私の両親なのですが…………
ご両親!?
医者の先生は側にいた看護師と何か相談している。
その眉が下がっているのがいやに気になってしまう。
やがて、先生は決心したように口を開く。
昨日爆発した家から、二人分の焼死体が発見されたわ
まだ断定はされてないけど、おそらくそれが……………………
焼死体……………………
それから、私は魔法を憎むようになった。
とりわけ、私の母と同じ発火魔法は。
人と接することすら怖くなり、一人で両親のことを思い出している方が気が楽だった。
そうやって人との接触を避けてるうちに、私は笑わない女とまで言われるようになった。
もう、誰も無くさずに済むように……………………
おはようございます、シャンスさん
……………………
にこやかに挨拶してくるフェイールに対し、シャンスはただ頷くだけで終わる。
気球が披露されてから数日が経ちサジェスはそれ以来姿を見せなくなった。
シャンス自身はむしろすっきりしたくらいだったが、フェイールはそう考えていないらしい。
時間を見つけては魔法学園に連絡を入れて、どうして来なくなったのかとしつこく聞いていた。
どうやら、研究のためにしばらく顔を出せないらしい。
シャンスとフェイールの反応は、びっくりするほど対照的だった。
とにかく、もうすぐシャンスの怪我も回復して退院することができる。
退院後は母の古い友人が当分の間面倒を見てくれるらしいし、何一つ不満はなかった。
しかし――――
失礼します
はい。…………えっ?
……………………………………
…………………誰?
こんにちは
To be continued...