アルエット・コネッサンス

あなたがシャンス・スーリールさんね?

アルエット・コネッサンス

私はアルエット・コネッサンス。今日はサジェスの代理で来ました。よろしくね

シャンス・スーリール

……………………

フュイール

アルエット・コネッサンス!?

突然、フェイールが大声を上げる。
そして、満面の笑みでアルエットに飛びついた。

フュイール

あのサジェスさんと気球を発明した天才魔法使いですよね!?私、大ファンなんです!握手してもらってもいいですかっ?

アルエット・コネッサンス

え、えぇ…………

元々引っ込み思案なアルエットにとって、グイグイ来るフェイールはあまり歓迎できる存在ではないだろう。
しかし、それでもブンブン腕を振り回されながらも必死な笑顔で対応する姿は、シャンスには滑稽に見えた。

二人きりで話がしたいとアルエットがお願いすると、フェイールはあっさりと席をはずしてくれた。
アルエットはシャンスと向かい合う。

アルエット・コネッサンス

やっとちゃんと話せるわね。サジェスから話を聞いてから、ずっとあなたに会いたかったの

シャンス・スーリール

帰ってください

アルエット・コネッサンス

そうやって人を突き放すのは何故?仲良くなるのは怖いから?

シャンス・スーリール

帰ってください

アルエット・コネッサンス

ほら、さっきと全く同じ言葉。まるで怯えてるみたい

シャンス・スーリール

別に怯えてなんかいません

アルエット・コネッサンス

なら、どうして私と目を合わせないのかしら?

シャンス・スーリール

……………………

さっきからずっと挑発的な口調のアルエットに対し、シャンスは何も返さない。

どうして、こんなに意地悪く言われなければいけないのか分からなかった。
まさか、この前のサジェスのことに対する嫌がらせだろうか。
もしそうなら、この「天才コンビ」とはとてもおめでたい仲なのだなと思う。

しかし、アルエットの言うことも間違ってはいない。
シャンスはさっきから、まともにアルエットの顔を見れていなかった。

アルエット・コネッサンス

サジェスの時も一緒だったそうね。相手の目を見ずに、ただ「帰ってください」を繰り返すだけ。それは興味がないのか…………

アルエット・コネッサンス

それとも、持たないようにしてるのか

シャンス・スーリール

……………………

アルエット・コネッサンス

でも、毎日しつこいくらいに訪ねて来られたら、普通人の反応は二つよね

アルエット・コネッサンス

いい加減にしろと癇癪を起こすか、徐々に惹かれて興味を持つのか…………あなたはどっちかしら?

シャンス・スーリール

そんなの……………………

前者に決まってると、シャンスが答えるより早く、アルエット自身がこれを否定する。

アルエット・コネッサンス

少なくとも、貴女は前者はないわね

シャンス・スーリール

なっ…………………!

アルエット・コネッサンス

だって、癇癪を起こしてたなら、とっくにサジェスを出入り禁止にしてるはずでしょ?

シャンス・スーリール

………………!!

アルエット・コネッサンス

あなたはいつも「帰ってください」っていうだけで、「もう来ないでください」とは一度も言っていない

アルエット・コネッサンス

それは瞬間的に距離を遠ざけてるだけで、相手の干渉を拒絶していないから。本当に干渉を恐れる人は、そんな半端なことはしないわ

シャンス・スーリール

な…………なんで………………

アルエット・コネッサンス

なんでそんなことが分かるのかって?簡単なことよ

アルエット・コネッサンス

私と貴女は、似てるから

シャンス・スーリール

似てる…………?

アルエット・コネッサンス

たとえば、サジェスのことが好きなところとか?

シャンス・スーリール

別に好きじゃありません!!

思わず叫んでしまった。
遅れて気づいたシャンスの顔が紅くなる。

そして、その様子を見てアルエットはクスクス笑っていた。
シャンスが睨んでも、一切やめようとはしない。

アルエット・コネッサンス

ねぇ、シャンスさん。考えてみて

アルエット・コネッサンス

貴女はどうなりたいのか、一方通行とはいえ、サジェスと接したことで何か変わったことがったはずよ。それを、自分自身に聞いてみて

アルエット・コネッサンス

きっと、意地を張らない本当の自分が現れると思うわ

シャンス・スーリール

……………………

また来ると言って、アルエットは去っていった。
入口から様子を見ていたフェイールは、慌てて見送りに行く。

シャンスはこの時、「帰ってください」と言えなかった。

シャンス・スーリール

………………………………

シャンスは、自分が小さな期待を抱いていることに、この時気づいた。

それは、サジェスの頃から、後姿を見送りながら感じていたことだった。

フュイール

あの、アルエットさんっ

アルエット・コネッサンス

はい?

フュイール

シャンスさんとどんなお話をされたんですか?

フュイール

シャンスさんがあんな風に叫んだの、初めて見たので…………

アルエット・コネッサンス

…………あぁ

ついさっきのことだと分かり、アルエットはまた吹き出した。
あのシャンスの照れた顔は、本当に傑作だった。

アルエット・コネッサンス

別に、特別なことはしていませんよ

アルエット・コネッサンス

ただ、彼女には、私のようになってほしくないだけです

フュイール

私のように…………?

アルエット・コネッサンス

シャンスさん、貴女はすごく幸せよ

アルエット・コネッサンス

サジェス・エフォールという「天才」魔法使いと友達になれるんだから

エクリール

………………………………

To be continued...

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