その日以来、トールは頻繁にエヴァリーンの元を訪れるようになった。
友人から始めてもいい。その言葉通り、トールは決して強引なことはしない。壊れ物にでも触れるかのように優しくしてくれる。
時には、大きな花束を片手に愛を語り、エヴァリーンのために二人きりのお茶会を開いてくれたこともあった。
紳士的なアプローチに、エヴァリーンは揺れていた。
疑う心と、信じる心が天秤(てんびん)のように行ったり来たりして、エヴァリーンを悩ませた。
まだ一週間、まだ半月。トールの訪れを数えている内に、ついに一か月が経った。