フィリアの追われていた理由が、“予知能力”であるらしい。

ユニ

確かに、珍しい能力ですね

フィリア

そうよ、だから面倒なことにならないように必死で隠していたわけ

ユニ

“予知”というと、これからいついつに何が起こるからこうした方が良い、みたいな感じですか?


 あまりそちらの方は詳しくないので、俺がそう聞くとフィリアは、

フィリア

大体そんな感じだけれど、実は、“予知能力”には二つのタイプがあるって知っていた?

ユニ

え、そうなんですか?

フィリア

そうそう。
一つは、現時点で望んだ“未来”を終着点に固定してそれまでの過程を見る能力。

フィリア

もう一つは、始点、つまり行為などを行った場合、過程を飛ばして特定地点の“結果”だけを見る能力

ユニ

なるほど。
たしかにどちらも“予知”といえますね

フィリア

そう。
ちなみに前者の方が圧倒的に多くて、私みたいな能力者は百年に一人くらいしかでないみたい。
しかも現れるのは“魔女”の血統が主らしいのよ


そういえばフィリアは魔女であるらしかったなと俺は思いながらそこで、

フィリア

でも、マリーの“冗談”のおかげで必死に隠していたわけだしね

マリー

えへ。まさかフィリアにそんな力が有るなんて思わなかったし?

フィリア

“天使族”の末裔が聞いて呆れるわ。この腹黒が

マリー

やーん、私、何処からどう見ても天使にしか見えないって周りの男性、女性に言われるのに

フィリア

能力や魔力が高い人間には“天使族”の崇拝が効かないから仕方がないわね。
だから私も友だちになったんだし

マリー

そうよね

それを聞きながら実はこの“マリー”は天使族だったらしいと新しい情報を仕入れる俺。

美しい容姿をした癒やしと邪気を祓う、白い羽が生えた者達。

系統は違うが属性がユニコーンとかぶっているなと、以前俺は本で読んだ時に思ったのだ。

と、そこでレイトが、

レイト

“天使族”なのに何で影が操れるんですか?

マリー

? ああ、“吸血鬼”は光が操れないの?

レイト

……なるほど、その原理で

マリー

そうそう


レイトとマリーで話し合いが行われて、けれどその会話ではよくわからなかった俺が、

ユニ

どういう意味ですか?

マリー

ん? ああ、影は光と対になるから、光を操れば影も動くと、そういうことよ

ユニ

なるほど。
光の位置を動かせば影も動くから

マリー

そうそう、間接的に動かせるのよ。
だから両方使うのが良いのよね。
相手が別種族だと勘違いするから、手が読みやすいし


ニヤッと笑ったマリーに俺は、この人はフィリアと同じ危険な女の子だと思った。

だから話をそらす意味で、これまでの出来事を思い出しながら俺は、

ユニ

そういえばフィリアは、レイトの屋敷の前で待っていたらレイトが出てくるのが分かったりしていましたね

レイト

だから僕はあんなにあっさり捕まってしまったのか……


レイトがさり気なく、プライドが傷ついているようだった。

そんなレイトを見ながらさらにこれまであった出来事を俺は考えていって、

ユニ

喫茶店でお茶をした時フィリアの追っ手が来るのも当てたし、飲み物や食べ物の睡眠薬も当てたし、レイトの部屋であるものがあるのも気づいたし

レイト

! ま、まさかどんなものがあるのかまでは……見てませんよね?


レイトが不安げな顔でフィリアを見るが、フィリアはくすりと小さく笑い、

フィリア

“巨乳のおん……”

レイト

雑誌の題名を言うのは止めてぇぇぇぇ!

レイトが涙目でフィリアを止めにかかった。

なんという残酷な事をと俺は思いながらも、一応は、レイトは親友なので、

ユニ

そ、それでどうしてフィリアはその能力を気づかれて、追われることになったんだ?

フィリア

……下僕その2で遊んでいてもそんなに面白く無いわね。
いいわ、下僕のお願いをちょっとくらいなら聞いてあげる

ユニ

……ありがとうございます

フィリア

後で対価を支払ってもらうけれどね。 

フィリア

体で

ユニ

!


舐めるように俺はフィリアに上から下まで見られて、俺が小さく震えるとそれにフィリアは満足したらしい。

ふうとため息を付いて、フィリアは話しだした。

フィリア

実は私、貴族の生まれだったんだけれど、親が事業に失敗して家が傾いちゃって

ユニ

そうなのですか


どこかで聞いたことがあった気がするが、何だったかなと俺は思う。

けれど思い出せないので、気のせいだなと俺はすぐに片付けてフィリアの話に耳を傾ける。

フィリア

それでまあ私の力を使って、“投資”をすることにしたの。

フィリア

結果が分かるなら、幾らでもお金が手に入ることになうわけで……それでまあ、何とか家は持ち直したの

ユニ

なるほど。
それで気づかれてしまったと

フィリア

いえ、そんなので気づかれるほど私が間抜けなはず無いじゃない


あれ、違うのかなと俺が思っているとそこでフィリアが、

フィリア

たまたま最近、新規の株でものすご~く儲かりそうなのがあったのよ。
誰も目をつけていないような、ね

ユニ

は、はあ

フィリア

それで欲を出して購入して売り払ったんだけれど……それが問題でね

ユニ

なるほど、それで能力がバレたと

フィリア

いえ、それではバレなかったわ


フィリアがものすごく嫌そうな顔で、バレなかった告げる。

では今の話に関係が無い所でバレたのだろうかと俺が思っていると、

フィリア

あまりにも上手く売り逃げしたから、インサイダー取引をしているんじゃないか疑惑が出ちゃって

ユニ

……

フィリア

それで結局はそうではないことが分かってもらえたのだけれど、そうなってくるともう“予知”をしているとしか思えないな、と言われて

ユニ

……なるほど

案外別の所、それもまさかという切り口から気づかれてしまうのはよくある。

たまたま参考書を借りに来たら、それを引き抜くとカバーだけで……。

その辺の話は置いておいて、そういった理由で気づかれたらしい。

なのでフィリアは逃げてきたようだ。と、

フィリア

でも上手く、ユニを捕まえられたのは良かったわ

ユニ

え? 俺を、ですか?
というか、何処かで会ったことがあったのですか?


フィリアに再び冷たい目で見られた。

と、そこでレイトがマリーに、

レイト

そういえばユニコーンの末裔が必要と言っていましたね。
何かこの一連のそれに関係があるのですか?

マリー

その装置を異界に接続するのに、ユニコーンの末裔の力が必要でして。

マリー

それも恋人のいるモノのほうが力が強いので、そちらのほうが良いだろうという話になっているのです

マリーの答えに、俺とレイトは顔を見合わせたのだった。

14、バレなかったのに、芋づる式で

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