まずここで当初の俺に降りかかった災厄についてもう一度思い出そうと思う。
俺は、彼女がいないのを理由に女体化されそうになった。
俺だってまだ16歳だし子供だと思うのに、彼女がいないというだけの理由で。
女の子が大好きなのに。
そして逃げてきた先で聞いたのは、お酒のノリで友人のレイトの嫁にさせられそうになっていたらしいという話だ。
まずここで当初の俺に降りかかった災厄についてもう一度思い出そうと思う。
俺は、彼女がいないのを理由に女体化されそうになった。
俺だってまだ16歳だし子供だと思うのに、彼女がいないというだけの理由で。
女の子が大好きなのに。
そして逃げてきた先で聞いたのは、お酒のノリで友人のレイトの嫁にさせられそうになっていたらしいという話だ。
レイト、そのお酒のノリで結婚を決めていたのはいつだ
2月前かな
……準備をするにしてもちょっと時間が長くないか?
そしてその謎の装置の起動。
しかもユニコーンの末裔が恋人と一緒だと力が強くなるとかなんとかという、その力が必要であるらしい。
この二つから推測するに、不安がもりもり増えていくのを感じながら俺は、
マリー、その研究に協力した報酬ってある?
あら、聞いていないのですか?
“神殿”での就職内定と、お勤めされている方の出世などなど、いろいろな交換条件が提示されていたのですが
……
その様子ではお聞きになっていないようですね。
なるほど、だから逃げたと
丁度年頃なのが俺しかいないからって、いきなり女体化させようとするなんて。
しかも、そんな俗物的な理由で……
絶望するように俺がつぶやいているとそこでマリーが、
長期的に考えて、今くらいにそれを起動させておいたほうが良いのでは、といった見解も出ているのです。
最近は魔力の結晶化させたものの産出も減ってきていますし。
それでお話しがそちらに向かったのですが……ちょっとこちらの事情と相まって、即急にという感じになって、女体化の話になったのでしょう。
掘削技術の技術改善でお願いします
複数の確保出来る手段があったほうが良いのですよ
クスクス笑うマリーを見ながらとりあえず俺としては、
きちんと彼女は作りますから女体化は止めてください。
切実に
えー、うーん、まあ気が向いたら説得にお力をお貸ししますわ。
あ、でもフィリアの力が借りれるとなると後は、貴方の恋人をどうしようという話だけが残りますね
確かにこのマリーの話では、フィリアの協力が得られれば、後は俺に恋人ができるかが問題になってきそうである。
ただ、フィリアの問題が片付いたので俺を捕縛して女体化してしまおう、という話にもなりかねない。
その危険性を考えると、早めに俺は恋人を探さなければ……と真剣に俺は考えているとそこでマリーが
んー、ここまで揃ったらもう、貴方に女体化してもらったほうが良いかもしれませんね。
ここで捕まえて突き出しましょうか
何で!?
いえ、女体化したユニコーンの末裔はそれはそれは美しい女性になって、とてもモテるらしいですよ?
元々ユニコーンの女性として生まれるよりも
い、いやいやいや
そうすればそこのレイトという人も、ひと目で恋に落ちるかも?
いや、ないない
僕は純正な女の子が好きなので、無理です
でも友人同士なら、こう、好感度は高いのでは?
ニコニコと鬼畜なことを告げてくるマリーに、俺とレイトは真っ青になる。
このままでは本当に女体化させられてしまうのでは、そんな不安が更に俺の中で大きくなっていると、そこでフィリアが嘆息した。
あまり下僕をからかわないで。
本気にするから
えー、そういうのも面白いんじゃない?
私の協力が取り付けられなくなるけれど、それでも良いかしら?
うー……というか、このユニコーン……確か、ユニでしたっけ。
彼がフィリアのお気に入り?
そう、お気に入りなの。
だからいじって遊んで良いのは私だけよ
ふーん。
まあ良いけれどね。
フィリアはお友達だし、ここで協力を得られなくなる方が面倒くさいし。
それにその方が都合が良いかな
?
?
ふーん、なるほど
……とりあえずは、そちらの方向で調整します。
何が好都合なのかは、俺には分からなかったけれどそうであるらしい。
そして、フィリアの俺への助け船に、マリーが仕方がないなというようにフィリアに答えるが、すぐにマリーは真剣な表情になり、
でもそんなに待ってあげられないわ。
ちょっと、“神殿内”でも派閥争いがあって、さっき攻撃してきたのがいたでしょう?
変なのがいたわね。
それがどうしたの?
私達が接触するのを邪魔しようとしているの。
私達が失敗して自分達が成功すればと思っているから、フィリアとユニを狙ってくるかも
俺達をですか?
うん、だから貴方には早く恋人を作ってほしいのよ。
何ならフィリアとはどう?
マリーに言われて俺は、フィリアを見る。
照れたように珍しく顔を背けるけれど俺は、
いえ、俺、大人しくて清楚な女の子が好きなんです
……いい度胸だわ、下僕
フィリアがそう俺に告げた。
でもここまでこだわるのを見ると、
あの、俺達もしかして、昔会っていたりしますか?
……
フィリアは無視した。
なのでそういえば前にレイトがどこか出会ったことがあるようなといっていたのを思い出して、
レイト、フィリアの正体を思い出せないか?
……無理だ。
ずっと思い出そうとしても思い出せない
く、仕方がない。
恋人をまた探さねば。
レイトは手伝ってくれるんだよな?
もちろん友人だしと俺が思っているとそこでレイトは笑った。
なんかもう、ユニ、お前に新しい恋人が出来る予感がしないから、そこにいるフィリアで手を打とうじゃないか
! 俺を裏切りのか!
お前までも
くくく、いつから俺がお前の味方だと錯覚していた。
俺は女体化した男と結婚せずにすむならなんだってやってやる!
突然の友の裏切り。
なんて事だと俺が思っているとそこで……突如として黒い影が俺達を襲う。
しまった!
マリーの声が聞こえるとともに俺は、何かに弾き飛ばされる。
見ると直ぐ側でフィリアも飛ばされたらしく、床に尻餅をついている。
やがて影が収縮し、
人質二人か。まあいい、この二人を返して欲しければ“アルカドの泉”に今日の夕方まで来るのだな
そんな声が聞こえ、影が消える。
そこにはレイトとマリーの姿がない。
い、今のは?
“ノーネイム・クラスタ”と名乗る敵派閥でしょう。
私達を保護しに来て、自分が罠にハマってどうするのよ
嘆息するようなフィリアの声を聞きながら俺は、
助けに行かないと!
うーん、マリーは強いけれど、心配だから一応見に行きますか。
あの“吸血鬼”なレイトはどうかしら、心配しないといけない程度に弱い?
……もしものことも僅かな確率でありますので見に行きます
そう答え、俺達はその指示された場所に向かったのだった。