フィリアが心底冷たい目でマリーを見て、
フィリアが心底冷たい目でマリーを見て、
特殊能力を持つ人間は、“神殿”内で飼い殺し
あー、それって、200年位前の話ですよね。
僕もそれを聞いた時は、昔はとんでもないことをやっていたんだなって思って……いたたたたた
そこでフィリアが無言でレイトの頬を引っ張った。
それを聞きながらマリーに、
あの、マリーさんは……
マリーでいいわ
マリーはフィリアをヘッドハンティングしに来たのか?
……はい
小さな声で呟くとそれにフィリアが、
それが本当に冗談なのか、信用出来ないわね
フィリアちゃんの力を使えば嘘かどうか一発で分かるんじゃない?
……それもそうね
そこで俺はまたフィリアから妙な力を感じた。
変な感じがすると俺が思っているとそこでフィリアが深々と溜息をつく。
本当らしいというの分かったわ
じゃあ話を聞いてくれるかな?
いいわ、言いなさい
やったー。
あ、ついでにそこの下僕なユニコーンさんも一緒で構いませんか?
何故か俺も呼ばれてしまった。
しかも俺の事を下僕なユニコーンて……いや、俺も末裔なので誇りがどうのこうのなんて無いから良いんだけれど。
そう思いながらマリーに近づくと、マリーは、
実は、ちょっと変わったドワーフの遺産が見つかったのよ
その話は聞いたわね、それで?
それがどうも異界に直接繋いで、魔力を固めた魔石を生み出すものらしくて
いきなり、異界との接続の話になって俺はぎょっとしてしまう。
異界は俺達の世界とは違う規則で動いていることも多いので、接触に寄る悪影響が懸念されていた。と、
異界といっても魔力のもととなる場所からですからね。
むしろその方がいいですよ。
この世界の幻獣が減ってしまったのも、この世界から魔力が一時的に他の異界が接近した時に持って行かれた説がありますし
そうなのですか?
ええ。それでそれを動かそうにも下手に動かして壊すのも、何か暴発してしまうのも困るし、ということで“フィリア”の力が必要なんです。
お願い、下僕さん。
フィリアを説得するのを手伝って!
そこでマリーが俺の手を握った。
涙を浮かべて、懇願するように見上げる少女。
ちなみにマリーもフィリアとは別の系統のふわふわした美少女だ、
そして、そんな女の子に免疫のない俺がすぐに頷いてしまいそうになるのは、当然かと思われるのだけれど。
俺はそこで悪寒を感じた。
冷たい凍るような気配を感じる。
背後にある、今すぐ逃げなければならないような雰囲気。
俺は恐る恐る振り返ると、冷たい目で俺を見るフィリアと、そんなフィリアの様子に凍りついたようなレイトがいる。
身の危険を察した俺は、
お、俺は下僕なのでそれ以上は無理です
ふーん、この私に抵抗するか。
やっぱりユニコーンの末裔とはいえ、力は侮れないわね
え、えっと……
心を私に許す力を私は使ったけれど無理か。
というか寝取りは趣味じゃないから諦めておこう。
力は魅力的なんだけれどね
マリーがそんなことを言い、さらにフィリアの表情が冷たいものに変わる。
それにマリーは嘆息して、
冗談よ冗談。
まさか初恋の相手に助けを求めに行くなんて思わなかったわ
初恋の相手?
何の話だろうと俺が思っていると、フィリアが、
別に、ただ逃げていたら偶然山賊に襲われていたから、捕縛しただけよ
えー、というか助けてくれた女の子との“恋”が始まらなかったの?
そうみたい。
恋人とペットと下僕の三択で選ばせてやったら、下僕を選びやがったのよ
……そんな趣味が
気づけば俺にマゾ属性がある話になっている。
ここで否定をしておかないと、後までマゾとレッテルを貼られてしまう。
だから俺の名誉のために、
お、俺はマゾじゃないです!
恋人はきちんとこう、初対面とかそういう出会いではなく、愛を育んでなるものであり、ペットはヒモみたいで嫌だし、だったら下僕しかいないじゃないですか!
……
……
……
切実な思いで叫んだ俺の言葉に、他の三人の視線は冷ややかだった。
そこでフィリアが深々とため息を付き、
どうでも良くなったわ。
それで私の力が必要なんだっけ?
俺の真剣な思いは彼女らにはどうでもいいことだったらしい。
俺は悲しくなっているとそこでマリーがニコリと微笑み、
あ、ようやく手伝ってくれる気になった
とりあえずどんな風な条件で私を扱うのか、聞いても良いかしら
そうですね……雇用関係の話は部外者には秘密なので、ちょっとこっちに
フィリアがマリーに近づいて何やら話している。
それから約数分後。
良いわその契約で
本当! 良かった、これでなんとかなるかも~
マリーが嬉しそうにフィリアと一緒に戻ってきた。
けれど俺達としては、
結局、フィリアの何の能力が必要だったのですか?
? ああ、フィリア、話してなかったの?
まあね。特殊な力だし
ふーん。
だったら今話しちゃえば?
軽いノリですすめるマリー。
そこでフィリアが面倒そうに、
……私が逃げ出した原因の特殊能力。
それは“予知能力”よ
そうフィリアは答えたのだった。