坂田結城

杏子は誰かを
好きになったことある?

橘杏子

うん、一応あるよ。

私のせいで彼は・・・。

坂田結城

大丈夫か?
嫌ならやめておくか?

橘杏子

ううん、大丈夫

彼のことをくよくよしていては前に進めない。
私は彼の分まで生き抜きたい。

彼を言い訳に使って現実に目を背けている
場合ではないのだ。

坂田結城

俺は、夏子のことが好きだった

好きだった。
過去形なのに違和感を抱いたとともに

胸が痛くなった。
最近胸のあたりがチクチクと痛くなる。

もしかして、心臓の病じゃ・・・

坂田結城

でも、夏子には
ずっと好きな奴がいる。

夏子は俺のこと嫌いだったんだよ
幼いころに何かのきっかけで
喧嘩したっきり
話すことはなかったんだ

橘杏子

じゃあ、今なんで・・・

坂田結城

母が亡くなったとき、
俺が挫けそうになったときに
助けてくれたのが夏子だった。

橘杏子

そう、なんですか

坂田結城

夏子は優のことが好きなんだよ

だから、俺はどうしても
優のことが好けないんだよ
・・・かっこ悪いよな、俺

私から、結城にできることは何だろう。
同じ目に二度と遭わないように
してもらうために。

橘杏子

かっこ悪い!!
いつも上からの癖に
そういうときだけ縮こまって、
情けないよ!!!

坂田結城

杏子?

橘杏子

一度きりの人生、
後悔で終わらせないで
当たって砕けろ。
しょうがないから宥めてあげるよ

私だって、長寿の方よりは
経験していないしまだ浅いかもしれない。
けど、結城よりちょっと年上の私から
届けたかった事。

それは、後悔を未来に持ち込まないために
当たって砕けることだと思う。

橘杏子

なんて、格好付けちゃうけどね

坂田結城

年下、もう
いい加減慣れただろ?

橘杏子

え?

坂田結城

親父から聞いたんだよ。
お前が前の会社で色々あって
年下が無理になったってさ。

社長はなんでそんなこと・・・。

橘杏子

なんでそんなこと社長が?

坂田結城

親父が、人付き合いの幅を
狭めてほしくないからって
頼んだんだとさ。

橘杏子

そんな、社長が?

坂田結城

早く聞かせろよ?
抱え込むと良くないぞ

橘杏子

貴方に言われたくないですけど
またお話しする機会に話すよ

田中夏子

あれ・・・。どなた?

橘杏子

うわあ、軽く修羅場~

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