眠井朝華(中学二年生)は、今日も保健室に居る。
言わば保健室登校っていうやつだ!
だけど、いつもと違うことがある。
それは隣のベットで眠る、みなみの影響だ!

みなみ

むにゃむにゃむにゃ

みなみ

そっちに行っちゃダメ!
行かないで・・・。

眠井朝華

この感覚は何だろう?

意識が何かに引っ張られていく・・・。

相手に意識をフォーカスするわけでもなく
夢の世界に誘われた眠井朝華。
みなみの強い想いに、
眠井朝華の意識がシンクロしたのだろう。

眠井朝華

気持ちの良い感じではないわね。
強制的に来るなんて・・・。

夢の住人

またキミか!
ホントに悪趣味だね!

(他人の)夢の世界を、覗き見るなんて。

眠井朝華

この世界から、追い出してやろうか!
そんな事、するわけないじゃん。

今日は違う、勝手に連れてこられたの。

夢の住人

そんな事、あるの?
夢の世界では無敵のキミが!?

眠井朝華

無敵じゃない・・・。

夢の住人

きっと、この子が求めてるんだよ!
さぁ~、キミの出番だ!!

眠井朝華

ウルサイわね~。
やれば良いんでしょ、
やれば・・・。

眠井朝華は、
夢の世界で大暴れ(?)する為に変身した!!

眠井朝華

くそねみまじかる~。

眠井朝華

ぱぁぁ~

夢の住人

こっちが恥ずかしくなる。

眠井朝華

気分を上げないと、
恥ずかしくてキュン死する。

なんだか、
使い方間違ってる気がするけど
っま良いや。

夢の住人

後は任せたよ!
ボクは消えるね。

バイバイ。

眠井朝華

まずは、
悪夢の化身を探さないとね!

眠井朝華

それにしても、
悪夢を観ているとは思えない。

景色がキレイすぎる。

今までの悪夢とは、違う光景に戸惑いつつも
悪夢の化身を探す眠井朝華。

そんな時、目の前に少女が現れる!

幼児B

お姉ちゃんは、誰なの?

眠井朝華

私は、眠井朝華。
中学二年生だよ!

幼児B

へぇ~
中学生なのに、そんな恰好しているの?

眠井朝華

これには、事情があるのよ。
大人の事情がね!

幼児B

おとなねぇ~?
中学生なのに・・・。

眠井朝華

なによ、いいじゃない。
っで、そういうキミは何してるの?

幼児B

ワタシね、
みんなと逸れちゃったの~。

色々探してるんだけど、
どこにも居ないの~

眠井朝華

そうなんだ。
っで、そのみんなって誰?

幼児B

みなみちゃんとあかねちゃんだよ!
いつも三人一緒なの~
仲良しなんだから!

眠井朝華

どこかで聞いた事ある
名前なんだけど・・・。

眠井朝華

あっ、
クラスメイトの名前じゃん!

って事は、
いま隣のベットを占拠している
あの子とその友達ね!

眠井朝華

もしかして、
この少女が悪夢の化身なの?

暴れている様子はないのに、
現実世界でみなみは魘されている。

どうしたら・・・。

幼児B

そうだ!
お姉ちゃんも一緒に捜してよ!

ねぇ~
お願~い!

眠井朝華

わかったわよ。
私も捜してあげる!

きっとこの世界で二人は見つからない!
そう思いながらも一緒に探す眠井朝華。

このままでは、
この子はきっとこの世界に囚われたまま。

それは即ち、現実世界でみなみは苦しみ続ける。

何とかしてこの世界から解放させる為に
手を尽くす眠井朝華であった。

幼児B

お姉ちゃん、居ないね~

みんな何処に行っちゃったのかなぁ~?

眠井朝華

もう、家に帰ったのかな?
それとも、他の場所で待ってるのかな?

幼児B

ワタシを置いて、
勝手に帰らないよ。

そんなイジワル、しないんだから!

幼児B

これだけ捜しても居ないから
もしかしたら水族館に居るかも。

眠井朝華

そっか~。
じゃあ、水族館に行こうか!

幼児B

うん!

イイユメツールを使って、
目の前に自転車を出した!

幼児B

お姉ちゃん、すっご~い!
目の前に自転車が出てきた~

眠井朝華

っでしょ~。
この格好は、飾りじゃないのよ!

自転車に乗って、水族館に移動した!

眠井朝華

ふぁ~、着いたよ!
っさ、みんなを捜しに行こうか!

幼児B

お姉ちゃん、見てよ~
このお魚さん、可愛い~

幼児B

イルカさんがボールくれた!
可愛い~

水族館に夢中になり、
いつしか目的を忘れてしまった少女だった。

眠井朝華はふと思った。

このまま目的を忘れて
水族館で楽しんで欲しいと。

そうする事で、
この世界から解放されるのではないかと・・・。

眠井朝華

そういえば、お名前聞いてなかったね。
お名前は、なんていうの?

幼児B

はるかって言います!

はるか

ヨロシクね!

眠井朝華

可愛いお名前だね!
はるかちゃん!

はるか

可愛い~
ありがとう~

眠井朝華

はるかちゃん、
ペンギンさんがこっちに来たよ!

はるか

このペンギンさん、おっきい~
こんなの、初めて見た~

眠井朝華

ヤバっ!
サイズの調整の仕方が分からなくて
成人男性と同じ大きさになっちゃった。

眠井朝華

お姉ちゃんも、
この大きさのペンギンを見るのは
はじめてだよ~。

可愛いっていうより、
ちょっと怖いかも。

はるか

え~!?
怖くないよ、可愛いよ!

眠井朝華

セーフ

はるか

次は、サメさんがみたい。

眠井朝華

サメは確か、
あっちのコーナにいるわよ。

眠井朝華

さめ、サメ、鮫をイメージして
イイユメツールで・・・。

はるか

きゃ~~~!
怖いよ~。

眠井朝華

また、やってしまった。
ゲームのやりすぎなのか、
怖いフォルムになってしまった。

色々なミスをするものの、イイユメツールを使って
はるかを楽しませる事が出来た。

夢の中に入って、
どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。

はるかの身体に異変が起きはじめた。

はるか

お姉ちゃん。
なんだか、身体が痛くなってきたよ~。

何処も怪我をしていないのに・・・。

眠井朝華

大丈夫なの?
血が出てるよ!

はるか

ほんとだぁ~

あたりの景色が突然変化した!

周りにはものすごい速さで行き交う車が走ってる!

眠井朝華は、はるかの身体に起きた異変について
察しがついたのであった!

眠井朝華

みなみがオネショをした・・・
もとい寝汗が酷い理由って
はるかと別れた際に、
はるかが交通事故に遭遇したからなの?

そこから、
はるかを助けたいと想って・・・。

はるか

お姉ちゃん、イタイよ~
なんで私、血が出てるの?

わかんない・・・。

こんな小さな子に、交通事故にあったからだよ
なんて言えないと思った眠井朝華であった。

せめて、楽しんで成仏させてあげたい
そう思うのであった。

眠井朝華

血が出てるのは、
急に走って転んだからだよ!

だってさっきまで水族館に居たのに
いきなり外にでたからね。

然程、頭の良くない言い訳だ!
子供騙しにもほどがあるけど・・・。

はるか

そうだね!

さっきまで水族館に居たのに、
気が付いたら急にお外に居るもんね。

ワタシ夢中になっていて、
気付かなかった。

眠井朝華

とりあえず、
このお薬で直ぐ好くなるから。

はるかは薬を飲むと、たちまち元気になった。

イイユメツールとは、
使用者の創造次第で万能薬にもなる
夢のようなツールだ!

否、夢なのだ!

はるか

お姉ちゃん。
猫ちゃんがみたいんだけど、
何処かにいないかな~?

眠井朝華

猫なら、はるかちゃんの後ろに居るよ。

はるか

こんにちは、猫ちゃん!

イイユメツールで召喚された猫は
満面の笑みをうかべた。

眠井朝華は、はるかに要求されるものを
自分の創造が及ぶかぎり答えていった。

そんなことをしているうちに、
はるかの身体にまた異変が起きた!

はるか

お姉ちゃん、ありがとう。
ワタシ楽しかったよ!
そろそろ時間みたい・・。
帰らなきゃ。

そういうと、はるかの身体は透き通って
いつしか姿が見えなくなった。

眠井朝華

これで、良かったのかな?
目の前から消えたって事は・・・。

眠井朝華は目を閉じて、
現実世界に意識をフォーカスして
戻っていくのであった。

眠井朝華

なんだか、しっくりこないわね!
始まりも終わりも・・・。

そう思っていると、
隣のベットから、みなみが目覚める声が聞こえた。

みなみ

久々に、はるかと遊んだなぁ~
よくわからないけど、はるか笑ってた!

眠井朝華

きっと私のしたことは、
間違いじゃなかった!

あかね

あっ、みなみ起きたのね!
顔色が良いわね!

みなみ

久々にゆっくり寝れた気がするの。
それに、はるかの笑顔を思い出せたの!

あかね

そうみたいね!
だって、オネショしてないもんね!

みなみ

だからぁ~。
オネショじゃないって言ってるでしょ!

あかね

冗談よ、冗談。
さぁ、教室に戻りましょう!

みなみ

そうだね!

こうしてまた一人、悪夢から救った眠井朝華。
眠井朝華は密かな達成感を感じつつ、
明日は教室に入れるかもと思ったとか思わないとか
・・・。

眠井朝華の物語は続く。
他人の夢を覗く特技が無くならない限り。

次はどんな夢の世界にいくのであろうか?

いつも一緒に・・・(後編)

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