俺は今、ロミオだ。
ああ、ロミオ様、ロミオ様!
なぜあなたは、ロミオ様でいらしゃいますの?
お父上様と・・・
俺は今、ロミオだ。
あなたの番ですよ・・・
羽柴は小声で言った。
あっ、え・・・
黙って、もっと聞いていようか、それとも声を掛けたものか?
何故こうなってしまったかと言うと話は二週間ほど前にさかのぼる・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
なぜこんなことになってしまったのであろうか?
で、どっちなんですか?
本物の春風先輩は?
私です。
何を言っているのかしら?
本物は私よ。
この状況を把握すると、部室に二人の春風先輩がいて、どっちかが本物、もう一人が俺らの部活の顧問の美雪先生ということはわっかている。
なぜ片方が美雪先生だとわかるかって?
教えてやろう、声や風貌をそっくりそのまま他人に変装できるのは彼女だけだし、そもそもこんなバカげたことをするのも彼女しかいないからだ。
そろそろいい加減にしてくれませんかね?
美雪先生?
そちらこそ、大人として恥ずかしくないのですか?
あ~も~めんどくさいな~
せっかく新入生の部活動紹介について話があるって聞いて集まったのになんなのよ!
上に同じく。
私も無意味な時間を過ごしたくないので帰宅してもよろしいでしょうか?
上に同じく。
しばしばっち、帰んないで!
その呼び方やめていただけませんか?
わかった!
やめるから!
帰んないで~
ぱいせんがそこまで言うのなら
先生のせいでなかなか話が進まないんですけど!
はいはい、私が先生です。
これで満足ですか?先生?
らちがあかないな~
もうあれしかないか!
あれって?
質問ゲーム!
ぱふぱふ~♪
ゲームかよ!
ネーミングセンスのなさ!
ルールはいたって簡単!
私たちが依吹に質問して、その返答によってどっちがホモなのか決めるのだー
趣旨が変わってるわ!
どっちも女だから!
わかったわ・・・
どっちがホモか決めましょ!
真面目な顔で悪乗りしないでください!
じゃあ、私から!
あなたは実は男性で、男性のことが好きである!?
ホモネタ長いわ!
私は女性だし、男性も女性も愛せるわ!
本人だったら、意外な告白だよ!
私は二次元だし二次元しか愛せないわ!
本人だったら、異常な告白だ!
じゃあ、次は私が聞きます!
上からサイズを教えてください。
なんでお前は自己紹介の時といい、スリーサイズの話題を日常の会話で使う!
いや待てよ、これは春風先輩のスリーサイズを聞ける大チャンスではないか!
ありがとう羽柴!
心の奥底で心の底からガッツポーズ
上から89
ボッ
57
キュッ
86だわ
ボン!
あざーっす!!!
何で知ってるんですか?
それはこっちのセリフですよ!
では、最後に私が!
え、俺は?
男に質問する権利はありません!
なんじゃそりゃ!
ではでは!
私と依吹が初めて交わした言葉は!
ロ、ロミオ!
なんでこんなにも小さくなってしまったの?
なぜに!
ジュ、ジュリエット!
ウサギさんのお家はあちらですよ~
ウサギ!
猫じゃなくて?
やはり依吹は依吹だね!
ポンポン!
瑠璃先輩はそう言って春風先輩1の肩を叩いた。
どうやら春風先輩1の方が本人らしい。
瑠璃~
そんな・・・
いや、ちょっと待て!
そしたら春風先輩は二次元しか愛せない二次元の女性ということに・・・
俺がそう考えていた時、部室の扉が空いた。
美雪先生いる~?
新種の敵?
俺らの担任だろ!
あ、いたいた!
そう言って三上先生は春風先輩1の方を見た。
私は春風依吹ですよ?
大事な要件だからさ、はよはよ!
ちょっと待ってよ、なんでこっちが美雪先生って思ったんですか?
え?
そりゃあ、加齢臭に決まってんだろ?
小さな沈黙が続いた・・・
ちょっと来てもらえますか?
三上先生?
やべっ、誰か助けてくれ!
ご愁傷さまです(`・ω・´)ゞ
俺らは皆で敬礼をした。
瑠璃~
はっ、はひっ!!
何事でしょうか・・・
天罰よ!
うりゃうりゃ~
そう言って、春風先輩は瑠璃先輩の猫耳を触った。
やめて~
どうやら瑠璃先輩の弱点は猫耳らしい。
相変わらず仲良しだな、先輩たちは。
・・・
と~こ~ろ~で!
どうするんですか?
部活動紹介!
そういえばそのために集まったのよね~
私、さっきの話で思ったんだけど、「ロリジュリ」のワンシーンを劇でやるのはどうかな?
「ロミジュリ」だよ!
ジュリエットの幼少期の話ですか、それは!
いいんじゃないかしら
え!
劇やるんですか?
やだ?
私は賛成です!
空気読めっ、バカ!
確かにそうだった、先輩達は今年で最後。
文化祭で部活を引退する。
先輩達のやりたいことをやってもらうのが後輩として取るべき行動である。
お、俺もやりたいと思っていました!
私はどちらでも・・・
皆さんにお任せします。
じゃあ、決まりね!
ロミオはたくみくみくみモンダミン♪
ジュリエットは月島彩佳か羽柴さんのどちらかで!
モンダミンにするな!
ちょっとまちなされ旦那、俺がロミオ?
ロミオ!
なんで俺がロミオに?
私は生徒会の仕事だし、瑠璃は部長だから部活の紹介をしないといけないの。
男役にはやっぱり男の子がいいと思うしやってもらえないかな?
喜んで!
私はジュリエットやりたくないわ!
こんなやつのヒロイン役なんて無理っ!
本当はやりたいなんて口が裂けても言えないんだから!
私もこの人がロミオをやるなら絶対にやりたくありません!
二人ともそんなに否定しないでおくれ
ここは羽柴さんの気が変わらないうちに・・・
ジャンケンで決めましょ!
わかりました!
絶対に勝ってみせる!
絶対にやりたくない・・・
じゃんけんぽい!
えっ・・・
卑怯技で彩佳は勝った。
しょ、しょうがないわねえ~
私が勝っちゃったし~
私がや・・・
わかりました、私が負けたので私がやります。
え?
そうね、申し訳ないのだけれどお願い!
めぐみんの初陣じゃ~
Why?
宜しく頼む。
わかりました、頑張ります。
そ、そんな・・・
バカだ、私、てっきり勝った方がジュリエットをやれると思っていたから
私、やることもないし帰るっ!
皆さん、頑張ってください!
そう言って、彩佳は部屋を出た。
なんだあいつ付き合いわりーな!
やれることぐらい、いくらでもあんだろ!
まあまあ!
月島さんにも色々あるのよ~
あ~
喘息のことですか?
そうだよ!
一応病人なんだから!
喘息って言ってもですね、大したことでは・・・
人の悪口を言っている人程醜いものはないですよ。
そんなことより練習しませんか?
そうね、まずはどのシーンをやるか、時間も限られてるから・・・
そんあことがあり、俺は今、ロミオを演じている。
このように私たちは・・・
・・・
しかし、羽柴恵、こいつには驚いた。
初心者であったのは確かであったけれど、教えたことはすんなりとでき、この二週間でよくここまで仕上げたものだ。
はっきり言うと俺よりうまかった。
いや、演劇部の誰よりもうまいかもしれない。
それくらいセンスをもっていた。
いっ、以上で演劇部の紹介を、おつ、じゃないくて、終わりにしましゅっ。
こうして俺らの劇は幕を閉じた。
おもしろいです