凍牙

なるほどな・・・

立哉さんから聞いた話では、夜道を歩いていたらいきなり後ろから襲われ、斬りつけられたらしい。

何とか犯人を見ようと振り返った結果、そいつは宙に浮いていたそうだ。

・・・うん、宙に浮いてて斬りつけてくるやつかー。



ごめん、いっぱい居すぎて分からないや。

僕だけかな、って思ってメンバーを見ると、・・・ああ、うん。

みんな僕と同じらしい。

佑都

特定したいんで、もうちょっと特徴とかありますか?

立哉

ああ、すいません。えっと・・・女性、でした。

彩都

形は?完全な人型?それともどこか欠けてた?

立哉

完全な人型だったと思います。浮いてましたけど・・・

何で斬られたとか、わかります?

立哉

・・・信じられないかもしれませんが、腕、だったんですよね。腕が鋭い刃物みたいになってて・・・

俺を斬りつけた後、風が吹いたと思ったら消えてて。訳が分からないまま俺は死にました。

特  定  し  た

腕が刃物みたいになってて、宙に浮いてて、斬りつけた後は風と共に消える。

僕、こんな特徴持ってる人、一人しか知らないんだよねー。

もう、あの人しかいないよね。

鎌鼬しかいないよね。

彩都

あいつか・・・これで何度目だよ・・・

佑都

最近大人しくしてると思ったらこれだよ・・・

凍牙

気ままにもほどがあるだろ、鎌鼬。

立哉

鎌鼬?それが俺を殺した犯人なんですか?

鎌鼬、だと思います。
お話を聞く限り、その特徴を持つのは彼女だけなので。

へえ、と頷く立哉さん。
あれ、この人・・・犯人を知りたくてここに来たんだよね?

これから、どうするんだろう。

佑都

これで犯人は分かったわけですが、これからどうしますか?

立哉

うーん・・・人なら、警察に突き出すんですけど、

人じゃないですもんね。

立哉

そうなんですよね・・・別に復讐しようとかは思ってませんし・・・

凍牙

そういえば、死んでからお迎えとかなかったのか?そのままここに来たみたいだけど。

立哉

あ、そのことですか。ええと、来ませんでしたし、上に引き上げられる感覚はあったんですけど、犯人が知りたかったので、気合でここまで来ました。

そうしたら、ここの玄関に着いた時には、引き上げられる感覚も消えてましたね。

佑都

何してんだこの人!!!

犯人なんかあの世の審判でも教えてくれたのに!!

彩都

なんってことを・・・

凍牙

あー・・・念のため、逝くべきところに逝ってもらえる?もし本当にそんなことをしたんなら、逝けなくなってると思うから・・・

立哉

はい。お世話になりました。
失礼します。

玄関まで送って行って、目の前で戸が閉められた。

佑都

・・・逝けたらいいけど

・・・逝けると信じるしかないね・・・

彩都

ん?

さっき閉まった戸がまた開いた。

立哉

すいません!無理でした!!

凍牙

だろうな!!

今後、この事務所の地縛霊として生きてく・・・


いや、存在していくそうです。

一つ目の事件(3・終)

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