こんばんわ!

雄太

ん……!?





俺の目が確かなら、それは間違いなくおっさんだ。

大きさとしては丁度自分の手の平サイズ、上下スウェットに身を包んだ小さなおっさん。

よく見ると、背中に羽のような何かが備わっているのが分かった。



雄太

あ、あの、どちら様でしょうか?

俺か? 俺は……

妖精

妖精!!!

妖精

だっ☆

雄太

……

雄太

いや、あの、自分の知っている妖精のイメージとかけ離れていまして

妖精

小さな概念に囚われるな若造、人生損するぞ?


以降、このおっさんには何を言っても妖精であることを主張された。




雄太

で、その妖精さんが俺に何の用でしょうか?

妖精

待て! 妖精は妖精でも俺には呼び名がある

妖精・白沢

白沢(しらさわ)だ!

雄太

おもくそ日本人の名前だな

妖精・白沢

あんたは細川雄太(ほそかわゆうた)くんでいいかな?

細川 雄太

どうして俺の名を!?

妖精・白沢

ずっと見ていたからな、もちろんさっきの帰り道での会話も!

細川 雄太

あ……そうっすか

妖精・白沢

あんたは今、人生のドン底にいる。精神的にな。だから俺が見えるんだ

細川 雄太

人生のドン底?

妖精・白沢

俺たち妖精はな、人生に悲観した一部の者に見えるようになるんだよ

細川 雄太

あーなるほど・・・





それからその妖精は自分の正体を洗いざらい口にした。

この世界には俺の住む「人間の世界」と、白沢の住む「妖精の世界」の二つがあること。

妖精は本能的に自分のパートナーを求めて人間の世界にやってきてしまうこと。

ちなみに世界間の行き来の仕方はトップシークレットらしい。

パートナーに選んだ人間の家に住みつき、その者を幸せにするため日々奮闘するとのことだ。




細川 雄太

小さいおじさんの伝説って本当だったんだね

妖精・白沢

さらに俺たちには特別な力が・・・

細川 母

ゆうたぁー! お客さんいるのー?

細川 雄太

うわぁっ! だ、誰もいないけど!!

細川 母

あ、そうなの? 話し声が聞こえた気がしたんだけど?

細川 雄太

て、テレビの声じゃないかな? あははは!

細川 母

あんまり夜更かししちゃ駄目よ。ママもう寝るから!

細川 雄太

あ、うん! おやすみ!

細川 母

おやすー!!

妖精・白沢

俺も寝るか

第二話『正体』 終

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