私には、仲のいい異国の友がいた。
その者と過ごす時間は、子供ながらにとても楽しかった。
彼が自分の国に帰ってしまう日、私たちはお互い泣きあい、泣くんじゃないとお互いに怒った。

そして、最終的にはお互い笑顔でお別れした。

彼は、今元気にしているだろうか…………

若奈

あ、話し声が聞こえる。起きたのかな?

一夜明け、兄・古森に世話を任せて一足先に休んだ若奈だったが、兄の性格に難があることをすっかり忘れておりいつもより早く起きてきた。

若奈

おはよう、お兄ちゃん。様子はどう――――

ソール・グルナディエ

…………ぶくぶく

古森

おはよう、若奈

若奈

え?どうしたの?

古森

客人が私の書いた小説を読みたいというのでな

ソール・グルナディエ

この国が……これほど生々しい歴史を帯びていたとは…………

若奈

あぁ、かんのう小説のことね……

何のことかすぐに悟った若奈は素早く客人から歴史……もとい、官能小説を取り上げる。

ソール・グルナディエ

ふう……呼吸が楽になったぞ

どんな仕組みの体をしているのだろう。

村長

貴様はそれでも男かぁ!!

若奈

あ、村長だ

古森

頼むから垣根を越えて入ってこないでくれ

村長

そういうな古森ちゅあん。わしと君の仲じゃろう?

古森

頼むからちゅあんとか言わないでくれ

ソール・グルナディエ

な、なんだこの老人は……

村長

誇り高き漢の中の漢、村長じゃ!!

ソール・グルナディエ

…………ぶくぶく

若奈

もう、みんなお客さんの前だよ!

古森

…………すまない

ソール・グルナディエ

いや、私も取り乱してしまいって申し訳ない

ソール・グルナディエ

ともかく、ここが十国であるのは本当なんだな?

若奈

うん、ここは十国だけど……どうして?

古森

どうやら、この人は西のディスナティから来たらしいんだ

若奈

ディスナティって、あの魔法を盛んに取り入れている国のこと?でも、あそこって海に囲まれて…………

村長

ねるほど、だからこの村に漂着したんじゃな。南東の港町を除けば、ここは海と面している数少ない村じゃからなぁ

ソール・グルナディエ

だが、残念ながら私はここに流れ着くまでの数日間の記憶が飛んでしまっているんだ

古森

まぁ、完全な記憶喪失にならなかっただけ、まだマシというものだが

古森

それに、まだ目覚めたばかりだし、ここの漁船だけで隣のディスナティまで行くのは不可能だ。しばらくここで厄介になることを提案するが、どうだろう?

ソール・グルナディエ

私は、致し方ないとは思う。寧ろ、喜んで居座りたい

村長

なんと図々しい男じゃ…………!

若奈

私は大賛成!お客さんなんて初めてだし、しばらくこの部屋使っていいよ!

村長

ほほ……そういうことなら良いじゃろう。あまり騒ぎを起こさんでくれれば、わしも構わん

若奈

村長がそれ言う?

ソール・グルナディエ

感謝する

ソール・グルナディエ

私はソール・グルナディエ。以後、よろしく頼む

古森

発音しにくいだろうから、水男さんとでも呼んでくれ

ソール・グルナディエ

断固拒否する!!

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