空と地上を埋め尽くす敵の大群!
この逃げ場のない状況に
タックたちは覚悟を決めて待ち構える。
空と地上を埋め尽くす敵の大群!
この逃げ場のない状況に
タックたちは覚悟を決めて待ち構える。
うりゃああぁっ!
タックは敵が射程に入るなり、
連続で矢を放った!
だが、その雨のように降り注ぐ矢でさえ、
全ての敵を射貫くことはできない。
程なくモンスターが3人のすぐそばまで迫る。
はぁああああぁっ!
せいっ!
ロイアスが長槍で複数の敵をなぎ払い、
その隙を狙って近付く敵に対しては
ビセットが各個撃破していく。
だが、最初こそ対応できていたものの、
圧倒的な数の差によって
次第に3人は押され始めた。
攻撃を受ける回数は増え、
体のあちこちから血が滴り落ちている。
ついに3人はお互いに背中合わせになり、
辛うじて身を守れているという
状態に陥っていた。
はぁっ、はぁっ!
なんて数だ……。
しかもまだ湧いてきやがる……。
すっかり囲まれて
しまいましたね……。
まだまだっ!
最後の最後まで戦いますぞ!
風斬剣っ!
その時、上空から飛翔してきた蒼い斬撃が
モンスターたちをなぎ払った。
それは断続的に放たれ、
3人の周りにいたモンスターは
あっという間に一掃される。
そしてついには、
吹き抜けていく風の音さえも聞こえるほど
その場が静まりかえった。
族長、助太刀に参りました!
シィル!
空から降り立ったのはシィルだった。
手に持ったショートソードには
翼人族騎士団の紋章が
誇らしげに輝いている。
風斬剣はその刃が生んだ斬撃の技だ。
彼女は3人の前まで歩み寄ると、
小さく頬を緩めた。
住民の避難が
おおむね完了しました!
あとは騎士団のみんなに
任せて大丈夫だと判断したので
こちらにやってきた次第です。
助かったぞ、シィル!
タック殿、ビセット殿。
先ほどは失礼しました。
やはりあなた方の実力は
相当なもののようですね。
――危ねぇっ!
っ!?
タックはシィルに思いっきり体当たりをした。
不意に突き飛ばされたシィルは
勢いのまま倒れ込む。
直後、今まで立っていた場所を
炎の塊が通過していった。
それはどこからか放たれた炎の魔法だった。
その炎はタックたちから離れた地面に着弾し、
爆発を起こす。
周りから注意を逸らすな、バカ!
ここは戦場だぞ! 油断するな!
す、すみません……。
避けられてしまいましたか……。
少し残念です。
笑みの混じった低い声がその場に響いた。
全員の視線が一斉に声のした方向へと向く。
するとそこにいたのは、
ラフな格好をした青年だった。
冷たい雰囲気を漂わせ、4人に歩み寄ってくる。
タックとビセットは彼を見るなり
表情が強張った。
何者だっ?
まさかこれだけの数の
アンデッドとレッサーデーモンが
壊滅に追い込まれるとはね。
お前、魔族だなっ!
タックの問いかけに、
青年はニタリと怪しく微笑んだ。
そして服装を正し、深々と頭を下げる。
次回へ続く!