橘杏子

私は任された義務を果たすのみです

神谷優

義務?
あなたの義務は何なんですか

橘杏子

彼の母代わりに
なることだと考えています

神谷優

ははっ、面白い事言いますねえ

橘杏子

私にできることは傍にいてあげる
事だと思うから。

神谷優

素直に言うこと
聞いてくれたら良かったのに

橘杏子

は?

神谷優

結城に近づくな・・・
と脅された方がいいですか?

橘杏子

目的はいったい何?
私は仕事なの。
あんたの私情で私を
巻き込むのやめてもらえる?

神谷優

結城はあなたのことを
必要としているのですか。

橘杏子

それは分からない。

神谷優

彼から聞きませんでした?
母親のことと元カノのこと。

橘杏子

聞いてないわよ。
人それぞれに秘密くらい
あるだろうし・・・

神谷優

って言って、
目を背けているだけですよね

そう言うのやめていただきたい。
傍にいるのは夏子だけで十分です
僕はもう見たくありません。
結城の無理して笑う姿を。

橘杏子

それなら認めてもらえるまで
やってやるわよ

神谷優

ああ、それまで
僕のところで修行してください

それからです。

橘杏子

数日間だけですから。

神谷優

杏子さんって面白いですね
結城のお母さんにそっくりですよ

橘杏子

そっくり?私が?

神谷優

性格は全くと言っていいほど
真逆ですが・・・

お母さんは明るくて
笑顔が素敵な人でした。

橘杏子

私との共通点なんて
ないじゃない。

神谷優

人を思いやり、優しさに
溢れている人物だと思います。

そして、自分の弱さを
決して見せません。

坂田結城

ストップ。
優、しゃべりすぎ

神谷優

いつから、いたんですか?

坂田結城

結構前から
じゃ、こいつもらうな

橘杏子

痛いんですけど・・・

坂田結城

優が言ってたことは気にすんな

橘杏子

何を隠しているんですか

坂田結城

あんたは知らなくていい。

橘杏子

・・・そうですか

坂田結城

ごめん、
そういう意味じゃない。

知らない方がいい。

橘杏子

それは、私が許しません

坂田結城

言うと思った。
だってお母さん代わりに
なってくれるんでしょ?

橘杏子

そ、それは・・・
言葉の綾です。

坂田結城

ありがとな

橘杏子

らしくないですね

坂田結城

素直じゃない奴。

橘杏子

じゃあ、明日から
修行に行ってきます

坂田結城

ああ

修行が明日から幕を開けるようです・・・

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