高円寺コウジ

あれがチナトゥの木…

コロック

もっと立派な大木をイメージしていたか?

高円寺コウジ

…うん、まあ

コロック

安心しろ。必ずシンは助かる

高円寺コウジ

うん

コロック

さあ、シンの身体を木の根元に

高円寺コウジ

新川シン




















新川シン

…くっ……うぅ…

高円寺コウジ

シン、大丈夫か!?

コロック

慌てるな。

今、苦しんでいるのは、スルトウの魂だ

新川シン

ぐぅ…っ……

コロック

チナトゥの木がスルトウの魂を吸い取っていく。もうしばらくだ

スルトウ

ぐわぁぁああっ!

















高円寺コウジ

シン…。…しっかりしろ

新川シン

高……円寺くん…

高円寺コウジ

よかった…!目を覚ました…

新川シン

コロック

しばらく、寝かせておくといい。チナトゥの木がシンの身体を癒してくれる










コロック

……

コロック

ところで高円寺。君に会わせたい人がいるのだが

高円寺コウジ

え?

コロック

少し待ってなさい。呼んでくるから

高円寺コウジ

…?

高円寺コウジ

こんなところに人なんているのか…?

高円寺コウジ





















高円寺コウジ

コロック遅いな…


















高円寺コウジ

え…。なんでチナトゥの木が光って…

高円寺コウジ

!?

高円寺コウジ

まさか!











コロック
高円寺コウジ

コロック! 一体何を…

コロック

しばしの別れだ。元気でな…




高円寺コウジ

コロックー!















高円寺コウジ

眩しい…

高円寺コウジ

向こうから人が…。誰が…

高円寺コウジ

え…

佐依子

…コウジ

高円寺コウジ

母…さん…?

佐依子

…ごめんね。ずっとそばにいてあげたかった

佐依子

…寂しい思いをさせてしまった

高円寺コウジ

あなたが僕の…

高円寺コウジ

高円寺コウジ

…謝らないで、母さん

佐依子

…?

高円寺コウジ

寂しくなんかなかったよ。


いや、ちょっとは寂しかったけど

佐依子

コウジ…

高円寺コウジ

こっちの世界はみんないい人ばかりだ

高円寺コウジ

そりゃたまには嫌なこともあるけど、それ以上にいいこともたくさんあるんだ。だから

佐依子

そう。…よかった

高円寺コウジ

…一緒に帰ろうよ

佐依子

佐依子

それはできないの

高円寺コウジ

なんで…

佐依子

こちらの世界に長く居すぎたわ

高円寺コウジ

そっか…

高円寺コウジ

会えてよかったよ…。母さん…

佐依子

私も

高円寺コウジ

また会えるよね

佐依子

きっと

佐依子

コロックからの伝言よ。

案内なしでも帰れるか?って

高円寺コウジ

コロック…

高円寺コウジ

じゃあコロックに母さんから伝えといて

高円寺コウジ

いつまでも子供扱いしないでくれって

佐依子

ふふふ。伝えとく

高円寺コウジ

じゃあね

佐依子

またね














高円寺コウジ

また会えるさ




























































シンと2人で、もと来た道を戻る。


『行きはヨイヨイ、帰りは怖い』なんていうが、



この旅に関しては真逆で、


長くも怖くも感じなかった。





本当に怖いのは、扉の向こうだ。






僕らはそのことをなるだけ考えないで



扉を目指して歩き続けた。








そして、ついに。




















高円寺コウジ

シン…。覚悟はいいかい?

新川シン

ああ…

高円寺コウジ

まあ、大丈夫さ。博士だってどうなるかはわからないって言ってたし

新川シン

うん

高円寺コウジ

それに君と僕の帰りをずっと待ってるって

高円寺コウジ

博士は嘘をつかない。きっと

高円寺コウジ

じゃあ開けるよ
























































新川シン

なんで…

高円寺コウジ

…何も……ない…

新川シン

そんな…

高円寺コウジ

これじゃ、あっちの世界の方がマシだ…

高円寺コウジ

博士…。ナミコさん……

新川シン













僕らはしばらく立ち尽くした。


どこかでこうなるとは分かっていたが、

実際目の前にすると受け入れがたいものだった。



少し歩いてみたが、人間の痕跡はおろか、

虫や植物さえも見当たらなかった。





高円寺コウジ

シン…

新川シン

なんだい

高円寺コウジ

一旦扉の向こうに戻らないか?

新川シン

あんだけ脱出したがっていた異次元に、もう一度戻りたいと思うことになるとはね

高円寺コウジ

向こうに戻った方が何かがあるはず

高円寺コウジ

何かが…

新川シン

あってもらわなきゃ困る。こんな終わり方……


















高円寺コウジ

扉の向こうに戻ったところで…

新川シン

高円寺くん!ちょっと!

高円寺コウジ

どうしたんだい

新川シン

さっきは背中を向けてて気付かなかったけど、ほら!














高円寺コウジ

ドアに張り紙…?



















3回ノックして
大きな声で「ただいま」。

それから扉を開くこと。


僕らは君たちを
いつまでも待っている。




本間マコト




高円寺コウジ

…!?

高円寺コウジ

本間博士が…?

新川シン

高円寺くん!

高円寺コウジ

博士は僕らのことを待っているって言ってた

高円寺コウジ

博士を信じよう!
















































































高円寺コウジ


た だ い ま !


























































波ナミコ

高円寺くーん!!

高円寺コウジ

ナミコさん…!?ちょ、苦しい…

本間マコト

やった!成功だ!

波ナミコ

やったわ!マコトさん!
やっぱあなたは天才

本間マコト

もっと褒めて褒めて

高円寺コウジ

これは一体…

本間マコト

あの扉の先は異次元の世界だった

本間マコト

つまりあの扉は異次元へと繋がるワームホールだったというわけだ

高円寺コウジ

はあ…

本間マコト

あの扉を使えば自在に時空間を飛び越えることができる。

使えるのは能力者に限られはするが

新川シン

言いたいことがよくわからないんですが…

本間マコト

時空を超えることができる、すなわち

高円寺コウジ

すなわち?

本間マコト

扉の向こう、行き先を過去に設定すれば、時間を遡れるということだ

高円寺コウジ

!?

新川シン

タイムトラベル…

本間マコト

そう! 高円寺くんが扉の向こうに旅立ったあと、私は扉の研究を進めた。そして、同時にタイムトラベルの研究も

高円寺コウジ

博士、そんなこともできるんですか…?

本間マコト

忘れたか?私の研究所は
『マジガチリアル“物理”研究所』だぞ?

タイムトラベルは物理学の範疇だ

本間マコト

もともと扉を見つけた当初から、タイムトラベルへの利用は頭にあったのだが、あまりに非現実的だと封じ込めていたんだ

本間マコト

だが、友人のピンチとあってはそんなことは言ってられん。研究を急いだよ








高円寺コウジ

ありがとう、博士

本間マコト

うまくいってよかった

波ナミコ

完成まで結構な時間がかかりましたけどね

本間マコト

…6年か。すまん。ちょっと時間がかかりすぎた

高円寺コウジ

6年じゃ、そんなに変わらないでしょ。世界は

本間マコト

そんなことはないぞ









本間カイナ

パパー!!

高円寺コウジ

パパ…?

本間マコト

私の娘だ

高円寺コウジ

はあ?

本間マコト

6年だぞ。私が結婚して、子供ができていても、おかしくなかろう

高円寺コウジ

結婚!?誰と?

波ナミコ

高円寺コウジ

えええ!?

高円寺コウジ

ナミコさんと博士が!?

新川シン

まあSとMでお似合いだけど

波ナミコ

それにもう1人、お腹に

高円寺コウジ

人が異次元さまよってるときに、やることやってんな

波ナミコ

うるさい













本間マコト

それで、名前をつけてくれないか

波ナミコ

私たちの大切な赤ちゃんに

高円寺コウジ

高円寺コウジ

僕がつけていいの?

本間マコト

もちろん

高円寺コウジ

じゃあ









































『※ちなみに超能力者・高円寺コウジはガチの能力者です。』







pagetop