お久しぶりなので…
前回までのあらすじ
新川シンの身体を乗っ取り
現世に現れた異次元の神・スルトウ。
親友であるシンの身体を
傷付けるわけにはいかず、苦戦する高円寺コウジ。
もはや万策尽きたかと思われたとき、
異次元の住人であるコロックから、
シンのスルトウを元に戻す方法が
一つだけあることが知らされる。
しかしその方法は
異次元の果てを旅するものであり、
成功しても現世には帰れない
(なぜ帰れないかは前の話をチェック)
絶望的なものだった。
そして未だ謎のコロックの正体。
あの告白が意味するものとは?
シンは助かるのか?
高円寺はこの状況を打開できるのか?
博士! あのままじゃ、高円寺さんが!
もう糖狂バナナもない…
私が行く…!
コロックさん…
いや待て!高円寺くんへの君の気持ちはわかった
…
だが、もし君までやられてしまったら困る。
シンとスルトウをわかつ術を知るのはあなたしかいないのだから
そうだが…、このままでは
いや放っておきましょう
え!?
何を言っている!スルトウは今にも高円寺を殺そうと…
スルトウは高円寺を殺せませんよ
なんだって…?
確証はないです。
…この仮説は合っててもらわないと困るが
確証はないだと? お前は友人を見殺しにする気か?
私は科学者です。私ができることはこれしかないんですよ
ついに頭がおかしくなったか
違いますよ。頭は冴えわたってます
どういうことだ
私は、コロックさん、あなたを信じることにした
!?
あなたの依代…。
見当がつきましたよ
…
私は、あの扉に関する研究ではこの世界で一番だと自負しています
その私が出した仮説だ。
外れてもらっちゃ困る
…
コロックさん
あなたの依代は
高円寺の母親だ
え!
そうでしょう?
そんな…!じゃあコロックさん…。
あなた、高円寺さんの母親を食べ…
ナミコちゃん。言いたいことはわかる。でもな…
…そうだ。
私が乗っ取ったのは高円寺の母親、戸隠佐依子だ
なんてことを…
ナミコちゃん、これにはおそらくわけが…
本間博士、理由はどうあれ、乗っ取っていることは事実だ。
言い逃れはできん
しかし…
そんなことより仮説とやらを聞かせてくれ。スルトウは高円寺を殺せないとは?
…ああ。あなたは高円寺を見守り続けた。それはもちろんあなた自身の意思も多分に含まれるだろう
しかし、それ以上に依代である戸隠佐依子の意思も大きい
…!?
依代にされてもその人間は異次元のものたちの中で生き続けている
そして乗っ取っているつもりでも、依代の影響からは逃れられない
そうか…
きっとスルトウの中でもシンは…
戦っている…
シンが本当に高円寺のことを大切に思っているのならば…
うわあああああ!!
!?
!?
高円寺!
……くっ!!なんなんだ…っ!
スルトウが…?
仮説は実証されたようだな
やめろ……。言う…ことを……きけ…
スルトウ…
……暗い
!?
シン…。シンなのか!
高円寺…くん……。どこに…いるの……
シン! 今助けるからな! ここにいるよ!
どこ……
くっ…!なめやがって……人間ごときが…
奴の身体の中でシンとスルトウがせめぎ合っている
危ない…!
なぜ高円寺は避けない…
シン…聞こえるか…
聞こえるよ…。でもどこにいるんだい…?
そっちは暗いのかい?
そうなんだ…。道標さえあれば…スルトウなんか……
道標だ…? 人間が…!
人間が俺様に…盾突くなど……
道標…
シン、僕はここだ
!?
眩しい…
…
うわああああああ!
シン…
高円寺くん!君が見える!
よかった…
くそ……。お、…俺が……まけ…
スルトウ、しばらく僕と一緒に眠ってもらうよ
ふざ……けたことを…
高円寺くん。しばらくお別れだ
え…?
スルトウの力は強い。抑え続けることは不可能だ。だから彼と一緒に眠りにつく。
死ぬわけじゃないよ
もし夢の中で彼と仲良くなれたら、交渉次第で僕の身体から出て行ってくれるかもしれないし
シン…
だからさ。たまにでいいんだ。こうして手を繋いでくれないか?
君がここにいるよ、って教えて欲しい
…
わかった。約束する
…ありがとう
じゃあ、またね
ああ、またね
…
シン…。シン…!
…
大丈夫…。
僕はずっと君のそばにいる