前回までの「くそねみまじかる」は…
前回までの「くそねみまじかる」は…
まぁ要するに、いつも通り保健室のベッドにダイブインしようとしていたら小日向さんが来て、恐眠症を治してほしいと頼んできたって感じです。
以上。
…さて、と
いつものように、私は深層心理の扉の前にいた。
しかし、今までと違う事があった。
あのー、私のメガネ、しりませんかー?
小日向がメガネ探してる。
いいのか小日向よ、それでいいのか。
学校一のマドンナがそんなドジ踏んでいいのか。
…というか、なぜ小日向さんがここに?
そんな疑問は置いといて、まずは・・・
メガネ、頭の上にあるけど・・・
え、あ・・・え~っと・・・
OK、ありました。
見つけてくれてありがとうございます!
あ、はい・・・
で、今回のネームプレートは・・・
ネームプレートには、こう書かれていた。
somniphobia
英語で来たよ。
初めて英語で来たよ。
えーっと、そ・・・そむ・・・
わ、わからん!さっぱりわからん!!
このためにちゃんと勉強しておけばよかった。
そう後悔していても遅かった。
なんだよこれ、聞いたこともないスペルだよ。
読み方わかんないよ、意味も分かんないよ。
ソムニフォビア、恐眠症の事ですね。
よ…よく分かったね…
なんてったって、私は英検2級ですよ?
英検2級ですか、そうですか。
正直、受ければよかった。
・・・とりあえず、開けてみるわよ。
待って!!
やっぱり・・・怖い・・・!
大丈夫、私がいるから・・・
うん・・・
扉の中は、まるでどっかの王宮のの大広間の様だった
ナニコレ…
ここは・・・
私が「始まりの大広間」といっている場所です
私がみる夢は、必ずこの大広間から始まるんです
表現がかなり独特すぎる。
とりあえずここが始まりの大広間らしい。
まぁ、それはいいんだけど…
肝心のネコ「チーシャ」がいない・・・
ふと、足元を見ると…
ん?なんだこれ?
足元には、手紙があった。
題名は『チーシャからの緊急メッセージ』
手紙の内容は、こうだ。
朝華ちゃんへ
僕は今日、用事があるのでそちらには行けません。
なので今回は、代わりの者を呼んで来たので彼女と共に行動してください。
用事が終わり次第、そちらに向かいます。
・・・(チッ
なんか、腹立つ。
いや、用事って何?
というか何でこのタイミングで?
文面から醸し出すこのサボりたい感、なんなの?
・・・にしても、代わりの者ってなんだ?
あの~…
小日向さん?
いや、彼女は今回の依頼人(クライアント)だし…
なんか、向日から女の子が来てますけど・・・?
へ?
小日向のセリフに気が付くと・・・
向こうから女の子が来た。
初めまして!代理人のエリューシャです!
よろしくお願いします!
めっちゃ明るい。
私にとっては太陽のように明るい。
ダメだ、近くに居すぎたら溶けてしまう程に明るい。
いや、ここは耐えるんだ・・・
眠井さんの事はチーシャから聞いてます!
何でも、悪夢を物理で倒しちゃうんですよね!
エリューシャ、感動しちゃいます!!
あ・・・えっ…あ~…うん…
あ…ありがと…うん…
ダメだ、全っ然耐えれん。
こういう時は、邪道だが…
助けてくれ、小日向さん…
無理です。
ですよねー
まぁ…だいたい予想はしてたよ。
つまり、自分の力で行けと…
貴方がクライアントの小日向さんですね!
初めまして!
はい、初めまして。
小日向マヤ、学園のマドンナです!
小日向さん、学園のマドンナなんですね!
私、あこがれちゃいます!
女の子は誰だって、おしゃれにあこがれるものですから。
若いうちはおしゃれしとかないとね。
なんか私そっちのけでガールズトーク始まってますけど・・・
私はどうすれば…
あーもう!
二人とも、行くよ!!
え~、もうちょっと話しましょうよ。
せっかくの夢の中での友達なんですから!
そうですよ、楽しみましょうよ!
つべこべ言わずに!
ほら!
うぅ~
始まりの大広間を進んでいくと、雰囲気がガラッと変わった・・・
なんていうか、地下駐車場って感じだ。
地下駐車場・・・
なんていうか、不気味ね・・・
そんな呑気な事を言っていると…
・・・
小日向が震えていた。
いや、「『何か』に怯えている」といった方が正しいか…
あれ?小日向さん?
大丈夫ですか?
眠井さん!
前!
え・・・?
エリューシャのいう通り前の方を向いてみると、そこには彼女が怯えていた『何か』がそこにいた。
『それ』は首だけしかない口の裂けた女性の頭だった。
さしずめ、頭だけの口裂け女といったところか。
しかし、とてつもなくおぞましいフォルムをしてやがる・・・
これは彼女が恐眠症になるのもうなずける。
仕方ない、こうなったら・・・
私は目を閉じた。
静かに集中する。
この夢と一体化するんだ。
静かに深呼吸する。
準備は出来た。
さぁ、この悪夢を浄化させようか・・・
悪 夢 退 散 !
悪夢の事なら私にお任せ!
夢見るヒーロー!眠井朝華!
ここに参上!!
人々を怖がらせる悪夢は、私が浄化してあげる!
・・・
(何言ってるんだよ私!)
何この決め台詞。
まぁなんとな~く頭にふと思いついたセリフを言ってみただけなんだけど・・・
めっちゃ後悔してる・・・
今後は封印しておこう・・・うん・・・
それにしても・・・
うぅ~…
やっぱりこの姿、めっちゃ恥ずかしい・・・
ぁ…
小日向がこちらをじっと見つめている。
な、なにさ?
か…かわいい!
眠井さん物凄くかわいいです!!
・・・へ?
まさかのかわいい
正直私も戸惑ってる、まさかこんな事を言われるなんて・・・
確かに、この姿はかわいらしいが私にとっては恥ずかしい。
そして、それに追い打ちをかけるように・・・
似合ってますよ!
いや、嘘じゃなくて!!
似合ってる
え?あ・・・そ・・・そうかな?
はい!
めっちゃ似合ってますよ!!
あ・・・あの~・・・
ネコミミめっちゃかわいいです!
触ってもいいですか?
う、嬉しいんだけどさ?
肉球もふもふ!!!!
早く戦わせて~!!
そうこういっているうちに・・・
わらわら
わらわら
頭だけの口裂け女が、なんか黒いよく分からないものを出していた
おぃ、みろ。
女子(オナゴ)3人しか居ねぇぜ?
あぁ、ホントだ。
一人はなんか変な格好してるぞ?
多分アイツが眠井って奴だ。
さっさとやっつけちまおうぜ?
なんかごちゃごちゃ喋っているわね・・・
ここはイイユメツールで短期決着…
敵!急速に接近!
私たちも戦います!
た…戦うって…
そういって、彼女がとりだしてきたのは…
銃だった。
あの・・・
これ、銃だよね?
はい!銃です!
チーシャから支給された物です!!
これで戦います!
ねぇ、ちょっと?マジで言ってるの?
とっととくたばれ!
化け物共ォ!!
なッ!!!!!
あ
黒いよく分からない化け物は銃の乾いた音と共に消えた…
やっちゃったよ…この子やっちゃったよ…
物凄いドス声で叫んだと思ったら、ぶっ放しちゃったよ…銃を。
ま・・・まずいぞ・・・
あの女子の取り巻き、銃でダニエルを・・・
お、落ち着け!
ここはまず・・・
退却ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!!!!!!!!!!!
逃がすか雑魚共ォ!!!!!!!!!!!!!
ひぃぃぃ!
助けてくれぇ!
エリューシャ、一つ言っていいかい?
怖い。
まるで任侠映画を見ているかのようだよ・・・
眠井さん!
雑魚共は私に任せて、あのデカ頭野郎をさっさと〆ちゃってください!
な…なんだか知らないけど、分かった!
さて、片づけるか。
悪夢の元凶を・・・
小日向、下がってて。
は、はい!
まずは、助走をつけて・・・
一気に…
ぶん殴る。
首なし女はその大きすぎる顔面に私のパンチを喰らい、そのまま壁の奥にふっ飛ばされた。
どうやら、かなり効いたようだ。
へっ!どうよ!
そんな、少年漫画のようなセリフを吐いたのも束の間
グシュル・・・
やっぱそうよね。
思った通りだわ!
奴はまだ生きている。
悪夢を消滅させるには、イイユメツールを使って倒さないといけない。
しかし、中にはツールを一回使っただけじゃ倒せない奴もいる。
要するにイイユメツールというのはアニメとかでよく見る必殺技みたいなものだ。
さて・・・
ケリ、付けようじゃないか。
意識を集中させる。
考えるんだ、創造しろ。
悪夢を倒して、いい夢を作りだす「ツール」を・・・
出でよ!
イイユメツール!!
化け物を倒すなら聖なる力のこもった銀製品!
相手がドラキュラじゃなくても効き目はある筈だ!
超巨大!銀の杭!
正直、何を言っているのかよく分からない。
しかしどこかの本で、銀には聖な力があると耳に挟んだ。
ならば、この悪夢もこの電柱大の銀の杭で吹き飛ぶ・・・はず。
いっくよー!
そういって、私はその電柱大のその巨大な杭を助走をつけて・・・
ブン投げた。
いっけー!聖なる杭!
首だけ野郎をぶっ潰せー!
もう私もやけくそだった。
何も考えず奴に鉄柱のような巨大な杭をブン投げたのだ。
化け物は見事杭に突き刺さり、そのまま壁に刺さって動かなくなってしまった。
よし!
大掃除終了!!
お、終わったの?
うん!
見ての通り悪夢は串刺しになったわよ!
す・・・すごい・・・
信じられないけど、現実よね・・・
やっぱり・・・眠井さんは
最強の英雄ですよ!
そ、それほどでもないよ…!
私はいつもはごく普通のコミュ障だし・・・
強いのは夢の中だけだし・・・
眠井さん!前!
え!?
エリューシャに言われて、前を見ると…
『奴』は、まだ生きていた。
そして奴は今まさに、最後の力を振り絞って、私に攻撃を仕掛けてきたのだ。
げっ!ヤバ!
やられる、私がそう思った次の瞬間だった・・・
・・・えっ?
化け物は最後の攻撃をした後、遂に動かなくなった。
私は生きていた。
そして私を守ってくれたのは・・・
ふぅ、危ないところだった。
大丈夫かい?くそねみまじかる朝華。
え~・・・っと・・・
誰!?
あれ?忘れちゃったのかな?
僕だよ、チーシャ。
君の相棒だよ。
いや君そんな姿じゃなかったでしょ!?
今までただの猫だったじゃん!
なんで人間の女の子の姿なのよ!!!
いや、君にあこがれて人間の姿になってみたんだよ。
どう、似合ってるかな?
まぁ、似合ってるといえば似合ってるけどさ?
あ!せんぱーい!
これはこれは、エリューシャじゃないか。
ちゃんと朝華と協力出来たかい?
あのー・・・
ちゃんとできましたよ?
敵をばんばん打ち落してやりましたよ!
おぉ!それはそれは、大したものだよ!
クライアントも仲間たちもきっと大喜びだよ!!
すいませーん
おっと、そろそろ目覚める時間だ。
また会おう、くそねみまじかる朝華よ・・・
は?え?ちょ、ちょっと!
朝華さん!
なに!?
今回は、ありがとうございます!
え・・・
その言葉を最後に、私は目覚めた。
1週間後
さて、今日も寝るか。
眠井さーん!
あれ?マヤじゃん。
どうしたの?また眠れないの?
違うんですって!
ここ一週間悪い夢見てないんですよ!
あの首だけお化けも全然見てません!
眠井さん本当にありがとうございます!!!
そ、それはどうも・・・
それでですね、私あなたを主人公にした小説も書いちゃったんです!
え!?
ちょ・・・ちょっと、恥ずかしいなぁ
タイトルはズバリ!
『夢見る英雄』です!
・・・
(やっぱ、恥ずかしい・・・)
そんなこんなで、わたしに初めての友人が出来た。
小日向マヤ、彼女はたまに私に会いに来てくれる。
私は、彼女にとって唯一の友達である。
時に助け合い、笑いあう、そんな友人だ。
くそねみまじかる =悪夢の中のsomniphobia=
END
夢の中
ところで、先輩。
人の姿になったのはいいですけど、戻り方解ってますか?
も・・・戻り方・・・?
も・・・勿論・・・
あ、これ分かってないな
いや、分かっているよ?
僕分かってるよ?戻り方・・・
だから・・・その・・・
助けてください。
無理です。
ですよねーwww
本当にEND