はじめて手を握った時、――小さな手だ、と思った。
彼女はきれいだった。
はじめて見た時は、思わず目を奪われた。
白く透きとおる肌と色素の薄い髪と瞳は、遠い異国の血を引くためだという。
その空と同じ色をした瞳は、吸い込まれそうな魅力を宿していた。
小さな体と怯えたような眼は、男の庇護欲を誘う。
小さくて愛らしい少女、男なら誰でも守ってやりたいと思うような魅力を持った少女だ。
ただ、どんな女であろうと僕の心が動かされることはない。
退屈で欠伸が出そうになった僕は慌てて右手のぬくもりに集中することにした。
遠慮がちに重ねられた手は、緊張のためか小さく震えている。
僕はかすかに笑って、それから握る手に力を込めた。
すると驚いたように、少女が顔を上げる。
大きな瞳とぶつかった。
僕が軽く微笑みかけると、彼女は真っ赤になって俯いた。
いつの間にか僕達は、寝所の前に辿りついていた。
僕は御簾を上げて、少女を中へ招き入れる。
部屋の中央に敷かれてある純白の大きな布団を見て、少女は固まった。