さてこの頃、先々帝の四の宮というたいそう美しい姫君の噂が宮中に広まっておりました。
母后はこの御方をたいそう可愛がっておられます。
帝に仕える典侍(ないしのすけ)は、先代から使える人で、この四の宮とも親しくしておりました。
その典侍が申し上げることには、この四の宮は亡くなった桐壷更衣に生き写しだそうなのです。
桐壷更衣のことを忘れられない帝は、四の宮に入内の申し込みをなさいました。
四の宮の母后は、弘徽殿女御の嫌がらせで桐壷更衣が命を落とした例を挙げ、そのような所に娘を入れることはできないと渋っておられました。
そうして時間が経つうち、母后は亡くなってしまわれました。
母を亡くし姫君は心細い様子です。
帝は