お帰りなさいませ

橘杏子

ここは・・・?

神谷優

僕の家です

では失礼いたします。

ガチャリとドアが閉まると
優君は更に距離を縮めた。

橘杏子

なんで、家なんかに?

神谷優

家って言ったら
警戒して来ないだろうなって
思ってさ

橘杏子

下心丸見え・・・

神谷優

やっぱり杏子さんは
男慣れしてるのかな?

橘杏子

ちょっと・・・!!

神谷優

照れてるのはなんで?


・・・ねえ、杏子さん

橘杏子

な、なんですか・・・

神谷優

付き合ってほしいんです。

橘杏子

は?

神谷優

警戒心の欠片もなくて
びっくりです。女っぽくないし
・・・それに何より

神谷優

年上が嫌いなんですよ

橘杏子

じゃあ、なんで
私に告白するの?

神谷優

あなたなら
受け入れられるからです

橘杏子

は・・・?

神谷優

それに、結城には夏子がいる

下手な真似は
しない方がいいですよ。

夏子。
私が気になっていた人物で、
きっと赤髪男にとって大切な存在。

神谷優

夏子のこと知りたいですよね?

橘杏子

教えてくれるの?

神谷優

なら、僕の言うことに
従ってほしいんです。

神谷優

結城のところを辞めて
俺のメイドとして働いてください

橘杏子

は?それはちょっと・・・

神谷優

ここに住んでいただいて
構いません。全て、こちらが
お金を出します。

橘杏子

でも、私には・・・

そして、優君は私の目を見てこう言った。

それは私でも分からない謎めいた事。
知っているようで考えてなかったこと。

神谷優

貴方は結城の何ですか?

新しく提供された職場が
できた今、あの場所に
留まる意義は何ですか?

橘杏子

ええっと・・・
私は・・・。

悔しかった。
淡々と投げかけられる言葉に
返答すらいえない。

年下になめられているような感覚

そんな訳ないじゃないですか
ねえ?社長?

君の責任じゃないのか

橘杏子

違うんです・・・

違うのに。
私は・・・いじめられてるの。

なんでみんな気にしないの?

年下だからって舐めないでよ?
せーんぱい?

もうやめてください!!

そう自分を失いかけていた時に
救いの手がかかった。

彼の名は・・・

pagetop