友達A

羨ましい限りじゃん

と、意味が分からないといったような
顔で見てくる。

私の嫌さが伝わらなかったようだ。

橘杏子

何がいいの・・・

友達A

少女漫画かって話だよ

橘杏子

嫌な男とデートだよ?

友達A

じゃあ、その結城っていう子
だったら良かったの?

橘杏子

だから、そんなんじゃ・・・

友達A

もうさ、こんな歳だよ?
現実見なきゃだめだよ

橘杏子

現実ならとっくに・・・

友達A

足元に転がってる幸せに
気づけないようじゃ
大きな幸せは舞い込んでこない
って言ってんの!

橘杏子

・・・一理あるかもしれない

友達A

ストーカーはその人に
任せるとしてさ、
結婚相手見つけたら?

橘杏子

まずは、恋人探しでしょ

友達A

それくらいの勢いでやらないと
一生独身だよって言ってるの

橘杏子

どうやって見つけたの?

友達A

私の一目惚れかなあ

橘杏子

一目・・惚れ?

友達A

ビビッと来たんだよね

橘杏子

そのセンサーは
いつになったら備わるの?

友達A

それを自分で感じるんでしょうが
それが無理なようじゃ
お見合いか合コンだね

橘杏子

絶対にいや

友達A

婚期逃すなよ~

橘杏子

・・・うん

友達A

年下も避けてばっかり
じゃいけないでしょ?

橘杏子

そうだよね。

婚期を逃したら、一生独身かもしれない
何だか現実味があって寒気がする。

魔の手はそこまで迫っていた。

橘杏子

ビビッとセンサーほしいなあ

神谷優

あれ、杏子さん!

橘杏子

優・・・くん

神谷優

名前覚えてくれたんですね!

橘杏子

呼べ、呼べうるさいから

神谷優

それでも僕は嬉しいです

橘杏子

それよりなんでいるんですか?

神谷優

そんなことは置いといて
付き合ってほしい場所があるんです

橘杏子

付き合ってほしい場所?

神谷優

はい、大丈夫ですよ
安心してください

橘杏子

胡散くさ・・・

でも、連れられるまま
私は優くんに手を引かれ、後に続いた。

pagetop