SPT-0001。
それは世界で初の試みを体現した存在。
バイオスキャンでもしない限り、有機人体との識別が不可能な程に精巧に作られた人型の擬似生体。
そこにSAIを搭載した……いわゆる人型アンドロイドである。
その開発目的は、要人警護。
SPを兼業するSAIなのだ。
昨今のテロリストは生半可では無い。
要人を襲撃する際には、ほぼ確実と言って良い程にGM兵器を用いる。
しかし、それに対抗して要人の周囲に常にゴツい機動兵器を配置しておく訳にもいかない。
そこで考えられたのが、人型サイズでありながらGM兵器に対抗できるSPTシリーズである。
データ上は人間と変わらなくとも、その体組織の構成に使われている物質はGM、つまりは小型のGM兵器だ。それをSAIが単独で全面制御する、完全プラスユニット式。
出力・耐久性・機動性・思考反応速度、全てに置いて人間を遥かに越えるパフォーマンスを発揮する。
要するに、『超人』の様な存在。要人を迅速かつ確実に守り切る最高のSPだ。
SAIのみで独立制御しているため、直接の対人制圧は不可能。
だが、GM兵器への攻撃・無力化は可能だし、要人を抱えて逃げ回ったり、その盾となる事はできる。
敵対者の迎撃よりも、要人を窮地から無事に生還させる事を重要視している訳だ。
更に、通常のSAIと同様にネットや通信回線への接続も行えるので、SAI本来の目的である日常生活のサポートも問題なく遂行できる。
所有者の生活支援に加え、緊急時に物理的な補助を行えるSAI端末。
それがSPT-0001を始めとする、SPTシリーズの開発コンセプトである。