橘杏子

うざい。うざすぎる

友達A

は?何かあったの?

黒髪にも慣れ始めて数週間。

今まではわざわざウィッグをつけて
友達と遊びに行かなくていいのだと思うと
黒髪にしてよかったかも、と思ってしまう。

橘杏子

色々あったというか
なんというか・・・

友達A

ふうん、じゃあ
何がうざいの?

橘杏子

実は・・・

橘杏子

では、失礼します

坂田結城

また明日・・・
あ、そうだ

坂田結城

夜道、気を付けろよ

あれから毎日のように
私の心配をするようになった。

つい、私は大人ぶった発言をしてしまう
(一応、大人であるが)

橘杏子

大人なんで
大丈夫です。

坂田結城

何か起こってからじゃ
助けようがないからな

それは母親への気持ちが込められているのか
でも、それだけじゃなかった。

それは今になってわかる。

橘杏子

失礼します

橘杏子

視線を感じるのは
気のせいかな・・・

健康のため、夜だろうと長い道のりだろうと
歩くようにしている。

でも、こんなに不気味な思いをする
夜道は初めてだった。

橘杏子

誰よ、つけている奴は

おや、お姉ちゃん
お疲れさんだねえ

丁度曲がり角を曲がったときに
出会ったのは、優しそうなおじちゃんだった。

橘杏子

あの・・・すみません。
後ろに誰かいませんか

後ろ?
誰もいないよ?

振り返ってみるけど
本当に誰もいなかった。

けど、さっきの視線は気のせいじゃないはず。

橘杏子

有難うございます

橘杏子

チッ・・・
中々のやり手だな

危ない危ない・・・

橘杏子

あの、誰かいるんですか

橘杏子

変人みたいじゃない

あまりこの時は気にしていなかった。
でも、彼がしつこく忠告した意味も知ることになる

神谷優

決めた

この男が関与していることも・・・

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