これ以上、
ハミュンにツライ想いはさせないっ!
なんとしても守りきってみせるんだからっ!
……その気持ちは私だけじゃなくて、
一座のみんなもきっと同じだと思う。
極度の緊張のせいか、
私の心臓の鼓動は大きく速くなっていた。
興行で緊張には慣れてるはずなのに、
どうしても制御しきれない。
やっぱりそれとは勝手が違うからなのかな?
――それから程なく、
傭兵3人が馬車へ近寄ってくる。
これ以上、
ハミュンにツライ想いはさせないっ!
なんとしても守りきってみせるんだからっ!
……その気持ちは私だけじゃなくて、
一座のみんなもきっと同じだと思う。
極度の緊張のせいか、
私の心臓の鼓動は大きく速くなっていた。
興行で緊張には慣れてるはずなのに、
どうしても制御しきれない。
やっぱりそれとは勝手が違うからなのかな?
――それから程なく、
傭兵3人が馬車へ近寄ってくる。
何かご用でしょうか?
貴様らはどういう連中だ?
私らは旅をしながら
人形劇の興行をしている
ルドルフ一座でございます。
それを聞くと、
傭兵の1人がチラリとこちらへ視線を向けた。
そしていくつかの箱から覗いている人形や
興行で使う道具を確認して小さく頷く。
どうやら嘘ではなさそうだな。
何も後ろめたいことなどないのに、
嘘をついてどうするというのです?
ここへ来るまでに
鳥人族を見なかったか?
この付近には鳥人族が
いるんですかい?
座長は興味深げな顔をして問いかけた。
――さすが演技がうまいっ♪
本当は知っているのに、あの自然なとぼけ方。
あれは普通の人には見抜けないよっ!
余計な詮索はするな!
質問にだけ答えろ!
見てないですなぁ。
というより、
鳥人族がどんな連中なのか
分かりませんのでねぇ。
噂では聞いたことはありますが。
一応、馬車の中を
確認させてもらうぞ?
どうぞどうぞ。
傭兵の1人が馬車を回り込み、
後方から私たちのいる荷台へ近寄ってきた。
そしてそこにいた私たちを順番に睨み付けていく。
そのあと、視線を荷台へと向け、
鋭い目つきで観察する。
おい、そこの小僧。
オイラのことか?
そうだ。ここにある木箱を
1つずつ開けていけ。
中身を確認させてもらう。
はぁっ!? 全部かよっ?
ヤツらは鳥の姿に
変身することができる。
荷物に紛れ込ませて隠すことも
できるだろう。
そうかもしれないけど、
全部を開けるのは大変だし
時間がかかるぞ?
だったらお前ら全員で
協力して開けていけ。
ちょっと待て!
なんで俺たちが見ず知らずの
お前らのために
そこまでしなきゃならないんだ?
傭兵の横暴な命令に、
アルベルトは怒りを爆発させた。
――お互いに睨み合い、一触即発の雰囲気。
でもすかさずアーシャがアルベルトの腕を握り、
静かに首を横に振った。
それで少し冷静さを取り戻した彼は、
舌打ちをして矛を収める。
……ふん。
最初からそうやって大人しく
言うことを聞いていればいいんだ。
箱を破壊して
確認してもいいんだぞ?
何の権利があって
そんな乱暴なことをする?
ここは関所か? お前は役人か?
なんだと?
また不穏な空気……。
このままじゃ事態は悪化する一方だ。
こうなったら私がこの場を収めるしかない。
私は当初から考えていた作戦を
実行に移すことにした。
まぁまぁ!
争いごとはやめましょうよ。
ミリア……。
傭兵さん、
お詫びの印に曲を演奏して
差し上げます~♪
必要ない。耳障りだ。
そうおっしゃらずに~!
演奏している間、
みんなには箱を開けさせますから。
アーシャ、フロスト。
2人もアランと一緒に
箱を開けるのを手伝ってあげて。
私は2人に目顔で合図を送った。
するとそれに気付いてくれたみたいで、
2人とも微かに首を縦に振る。
承知です。
分かった。
ミリアの言う通りにしよう。
傭兵さん、いいですよね?
……ふん、勝手にしろ。
だが、聴くに堪えない演奏だったら
やめさせるからな。
むっ! 失礼しちゃうっ!
では、演奏をさせていただきます。
みんなは作業に入って。
私が声をかけると、
アランたちは荷物を固定していた
ヒモを解き始めた。
それを確認すると、
私はアコーディオンを持って演奏の準備をする。
――よし、ここまでは作戦通りだ!
最後までうまくいくと良いんだけどな……。
次回へ続く!