しょうがなく借りたぶかぶかのパーカーの
袖をまくり上げた。
何故か、案内されたのは
ダブルベッドの置かれた眺めのいい部屋だった。
ここ、一人で寝ていいのかな。
はい、問題はありませんよ
しょうがなく借りたぶかぶかのパーカーの
袖をまくり上げた。
何故か、案内されたのは
ダブルベッドの置かれた眺めのいい部屋だった。
ここ、一人で寝ていいのかな。
そうか、お前に頼んで
正解だったな。
ありがとうございます
見捨てないでやってくれ
そんなつもりはありませんよ
微かに語尾が震えていて、
本当に心配しているんだと感じた。
あいつ、迷惑かけてないか?
まあ、社長が言ってた通り
帰りは遅いですけど、いい子ですよ
まだあって間もないものの、社長が言っていたように
根は悪い子ではないのだと思う。
素直になるのには時間を
必要とするかもしれないが・・・。
少しずつ、溝を埋めていきたいと思う。
その後少し会話した後、社長との電話を終えた。
電話してたの?
おか・・
親さんから。
プハッ。
親さんって
彼の前でお母さんという言葉は
行ってはいけないと反射的に感じた。
でも、余計に怪しまれてしまったかもしれない。
というか、同じところで寝るの?
親父のベッドないし
それなのに、ここのベッドは
ダブルなんだ・・・
金持ちは凄いと思う。
こんな豪邸に住むまでに
どれだけ努力をしてきたのだろう。
私には到底、計り知れない。
隣、いい?
わ、私、床で寝ます・・・。
いくら、年下だからといって
隣で寝るのには勇気がいる。
彼氏でもない男と
一緒に寝るのなんてありえない
俺の命令に背くなんて
ことないよな?
いつまでも従うと思うなよ
早く寝るから、
横に来い。
グイッと引っ張られるまま、
私は男の隣へと移動させられると
私の目の前には男の顔が度アップで目に入る。
男の力には敵わない。
なんですか・・・。
お願いがあるんだけど。
だからなんですか
明日、買い物に
付き合ってほしい
別にいいですけど・・・
じゃあ、デートだな
絶対ないです。
冗談でもやめてください
そこまで嫌がらなくても
嫌なものは嫌です。
なんで、
そんなに年下を嫌うんだ?
嫌ってなんてないですよ
じゃあなんで
目、そらすんだよ
嫌ってないって
言ってるじゃないですか
私はそのまま、彼に背中を向けて
寝たふりをした。
嫌なんだよ・・・
それじゃあ
彼は悲しい声色をしていた。
後悔した。なに意地張ってるだろうって。
それじゃあ、の後に続く言葉が
分かった気がして私はその後寝られなかった。