爽やかに微笑み、からかってくるフロスト。
私は頬を膨らませつつも、
気を取り直して話を続ける。
爽やかに微笑み、からかってくるフロスト。
私は頬を膨らませつつも、
気を取り直して話を続ける。
……さっき私が話そうとしたのを
遮らなかった?
気付いていたのか。
どうして?
だって傭兵とのトラブルのこと、
話そうとしたんだろう?
うん……。
だから遮ったのさ。
ミリア、キミはみんなに
心配をかけるつもりか?
もう済んだことだし、
無事だったんだ。
それでいいじゃないか。
…………。
フロストの言う通りだ。
もう済んだことだし、
話せば心配をかけてしまうに違いない。
でも……なんか嫌だ……。
みんなに隠し事をしたくない。
大切な家族だからありのままの姿でいたい。
だから自分の心が納得できないんだと思う。
考え込んでいると、
フロストは穏やかな顔で私の肩を軽く叩いた。
もしどうしても気になるなら、
僕から座長にだけ伝えておこう。
それならいいか?
……うん。
普段はムカつくヤツなのに、こういう時は優しい。
なんかズルイよ……。
僕からもミリアに
言っておきたいことがある。
っ?
もしかして告白ぅ~っ?
あはは、そう来たか……。
フロストは苦笑いをした。
でもすぐに真面目な顔に戻って私を見つめる。
キミはキミ自身が
思っている以上に、
一座で重要な存在となっている。
それだけキミの言動は
影響力が大きいんだ。
あたしがっ!?
ま、まさか……。
だからあまりみんなを
心配させないようにな。
フロストは穏やかに微笑み、
私の頭をクシャッと撫でた。
……照れくさいけど、嫌な気はしない。
むしろドキドキして頬が熱くなってくる。
やっぱり私……なんか変だ……。
――そのあとフロストは座長のところへ
駆けていったのだった。
翌日の早朝、私たちは村を出発した。
辺りには馬車の車輪の音が響き、
そこに小鳥たちのさえずりが混じって
聞こえてくる。
んーっ!
私は深呼吸をした。
空気はすごくおいして、
吸い込むと胸の中がスーッとする。
木々の香りも感じられてすごく心地いい。
ヒヒィイイイィーンッ!!!!!
突然、キホーテが大きくいななくのが聞こえ、
馬車が停止した。
何事かと思って前を見てみると、
前方の街道脇で誰かがうつ伏せに倒れている。
――見た感じ、私と同い年くらいの女性かな?
声をかけてみる。
あっ、オイラも行くよ!
待ちなさいよ!
男だけだと倒れている人が
驚くかもしれないでしょ?
あたしも一緒に行く!
私は2人と一緒に倒れている人に近付いた。
その子はあちこちが傷だらけ。
服には土がついて汚れ、破れている場所もある。
あのっ、大丈夫ですかっ?
…………。
――返事はなかった。
眠っているのか、気を失っているのか、
あるいはすでに亡くなっているのか。
私は様子をうかがおうと、体にソッと触れた。
その時、私は彼女の体が普通の人間とは
違うということに気がつく。
っ!? 羽っ?
こいつもしかして、
鳥人族じゃないのか?
えぇっ?
とにかく馬車へ連れていこう。
トラブルの火種に
なるんじゃないのか?
だが、このまま放置はできない。
そうね。
馬車へ連れていきましょう。
アルベルトは鳥人族の子を背負った。
そして私たちは馬車へと戻る。
すると一部始終を見ていた座長は
全員が乗ると同時に馬車を出発させた。
その場に留まっているのは、
なんだか危険そうな感じがするもんね……。
次回へ続く!