それからしばらくして
アルベルトとアランが宿へ到着した。
座長も宿屋のご主人から
色々と情報を得たみたい。
全員が部屋に揃い、情報交換が始まる。
それからしばらくして
アルベルトとアランが宿へ到着した。
座長も宿屋のご主人から
色々と情報を得たみたい。
全員が部屋に揃い、情報交換が始まる。
傭兵たちが集まっている
理由が分かった。
鳥人族(ちょうじんぞく)が
目撃されたからだ。
ふむ、宿屋の親父も
同じことを言っていた。
それで宿泊客が多いらしい。
鳥人族って、あの鳥人族?
ほかに鳥人族があるのかよ?
アランは呆れたような口調で言うと、
深いため息をつく。
何か生意気なんだけど……。
近いうちに隙を見つけて
お仕置きしちゃうから覚えておきなさいよね。
……だってさ、
滅んだ種族なんだもん。
滅んだのですか?
そっか、アーシャはそういうこと
知らないんだっけ。
えっとね、鳥人族は
かつて魔族に従って
人間と敵対していたの。
鳥人族の長が人質にされて、
仕方なくっていう
事情はあるんだけどね……。
まぁ、空は飛べるけど、
それだけの種族らしいからな。
戦闘力は人間側についていた
翼人族には適わない。
それで鳥人族は
滅ぼされちまったのさ。
そうなのですか……。
でも全滅したわけじゃなくて、
たまに生き残りが目撃されるの。
どこかでひっそりと
暮らしているんでしょうね。
つまり当時の遺恨が原因で
狩られてしまうわけですか?
いいえ、大昔の話だもん、
今さらそんなことで恨まないわよ。
目的はヤツらの羽と肉さ。
羽は丈夫で軽いから
防具の素材として重宝される。
肉は食べると寿命が延びるらしい。
どっちもすごく高い値段で
取り引きされるんだぜ?
鳥人族1人で城が買えるくらいだ。
だから目撃情報があると、
狩ろうって連中が集まるわけさ。
どんな姿をしているのでしょう?
さぁね。私たち庶民は
見る機会なんてないもの。
僕は見たことがあるよ。
不意にフロストが口を開いた。
でも知っていることを自慢する感じじゃなくて
淡泊に事実を述べただけの印象。
どんな感情でいるのかは分からない。
何か想うところでもあるのかな……?
幼いころ、他国へ親善訪問に
連れていかれた時さ。
生け捕りになっていた鳥人族を
見せられたんだよ。
どんな格好をしているのです?
普段は人間とあまり変わらないよ。
ただ、鳥の姿に変身できる
能力を持っている。
森や山などで
動物たちに混じって暮らすことで
生き延びてこられたのかも
しれない。
へぇ~!
私も初めて知ったな……。
でも鏡に映すと
元の姿に戻ってしまうという
特性がある。
そうか、だからかっ!
手鏡を持っているヤツを
村の中でたくさん見たぞ!
ふむ……事情は分かった……。
カネの亡者どもは見境がないし、
周りも見えていない。
どんなトラブルに巻き込まれるか
分からん。
注意しないとな……。
あ……。
座長の言葉を聞いて、
私は傭兵とトラブルになったことが
頭に浮かんだ。
みんなに話しておいた方がいいかな……。
私は座長に視線を向け、話をしようとした。
でもそれよりわずかに早く、
フロストが口を開く。
ルドルフ座長、
明日は早朝に村を
出発しましょう。
えぇ、そうですな。
んじゃ、話も落ち着いたし、
食事へ出かけるか。
おーっ!
余計なトラブルを避けるため、
私たちはなるべく目立たないように
静かに宿を出た。
夕食を食べる場所も
宿のすぐ近くにある小さな酒場。
そこは宿屋のご主人に紹介してもらった店だ。
ちなみに傭兵たちは村の中心部にある
大きな酒場に集まっているとのこと。
――路地を歩いて向かっている途中、
私はやや後ろを歩いていたフロストに
歩くスピードを合わせた。
そして何気なく横を歩き、小声で話しかける。
フロスト、ちょっといい?
告白かい?
ちっ、違うわよっ!
あはは、それは残念だな。
いきなり何を言い出すの、こいつはっ!
しかも笑顔でさらっと!!
もう、変に意識しちゃうじゃない……。
私は頬を膨らませつつも、
気を取り直して話を続ける。
次回へ続く……。