特別編・4(全7回)

 

タック

今回のお話の主人公:タック
場所:空中都市ルナトピア
時期:第63幕の直後

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アレスたちは雲の上を歩き、
浮島にある第4の試練の洞窟へ向かった。

遠ざかる彼らの姿を見送ったあと、
タックは大きく息をつく。
 
 

タック

しばらくはひと休みだな。

ビセット

タック殿、第4の試練は
どのようなものなのです?

タック

世界を変えられる力を示すこと。

ビセット

ほぉ?

タック

第4の試練の洞窟には
勇者アレクの剣がある。
そいつに力を示すのさ。

タック

失敗すれば体が塩になる。

ビセット

でもアレス様なら無事に
アレク様の剣を
手に入れられるでしょう。

タック

オイラもその点は
心配していない。
それよりも気になるのは――

ビセット

今の状況ですよね?

 
ビセットはタックが言い終える前に、
即座に反応した。

するとタックは相好を崩して満足げに頷く。
 
 

タック

その通りだ。
さすがだな、ビセット。

ビセット

いえいえ、タック殿には
適いませんよ。

タック

戦力が分断されている今、
総攻撃を仕掛けられたら
アレスたちもオイラたちも
ヤバイかもしれない。

ビセット

ではタック殿がアレス様と
一緒に行けば良かったのでは?

 
その問いかけに、タックは静かに首を横に振る。
 
 

タック

いや、戦力的には
あの組み合わせがベストだ。

タック

ミューリエは外せないとして、
シーラにはアレスの力を引き出す
能力がある。

タック

総力戦になった時こそ、
最も力を発揮できるだろう。

ビセット

私も同意です。
アレス様の力は、
魔族にとって最大の驚異。

ビセット

それを効果的に活かすためには
シーラ殿の役割が
大きいですからね。

ビセット

そして私とタック殿のコンビも
愛のパワーで戦力は数倍にっ♪

タック

へいへい、
寝言は寝て言おうな。

 
淡々とした態度で、冷たくあしらうタック。

その反応を見てビセットは
ニタリと口元を緩めつつ肩をすくめた。
 
 

ビセット

冷たいですねぇ。
もう少しノリが良くても
いいんじゃないですかぁ?

タック

いつもいつも付き合ってられるか!

タック

……ま、接近戦が得意なお前と
中距離攻撃が得意なオイラなら
相乗効果があるのは確かだけどな。

タック

とりあえず、
町の様子でも見にいくか。
せっかくの空中都市だしな。

ビセット

ですねぇ。
どこか不審な点がないかを
確認しておきましょう。

 
こうしてタックとビセットは
その場をあとにして、
ルナトピアの市街地へ向かうことにした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
市街地のメインストリートを歩く
タックとビセット。

すれ違う翼人族の人たちは
一様に視線を2人へ向けている。
建物の中からコッソリと
様子をうかがっている者もいるようだ。
 
 

ビセット

みんな私たちを見てますねぇ。

ビセット

やはり私たちが
お似合いのカップルだと
みんな思っているんでしょうねぇ。

タック

そんなわけあるかっ!

ビセット

じゃ、お似合いのアベック?

タック

そういう意味じゃねぇよっ!

ビセット

うーん、激しいツッコミっ♪
最高ですねぇっ!

 
相変わらずのビセットに、
タックは疲れたように深いため息をついた。
 
 

タック

……そろそろ黙れ。

ビセット

うふっ、承知しましたっ♪

タック

ルナトピアでは
翼人族以外を目にするのは
滅多にないことだからだ。

タック

それでオイラたちを
見てるんだよ。
それくらい分かってるだろ。

ビセット

だってタック殿と2人っきりは
久しぶりなので……。
つい、はしゃいじゃいました。

タック

まったく、お前は……。

 
そんな何気ない会話をしながら
歩いていた時のことだった。
 
不意に2人の後ろから大きな声が上がる。
 
 
 

シィル

――あなたたち、待ちなさい!

 
2人が揃って振り向いてみると、
そこには翼人族の女性が立っていた。


彼女は鋭い目つきで2人を睨み付けている。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

特別編・4-1 穏やかな ひととき

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