此奴__田中夏子は俺の幼馴染であり、
一番仲のいい女子であろ。
結城、おはよう
此奴__田中夏子は俺の幼馴染であり、
一番仲のいい女子であろ。
朝から元気だよな・・・
寝坊してきたくせして
何言ってんのよ。
もう午後だよ?!
口うるさいが、中身は良い奴だと思う。
俺のことをちゃんと
人間の素質で判断してくれる。
夏子はいつも
うるせえよ・・・
あ、圭。
此奴どうにかして
圭は高校生になって初めてできた友達である。
そして、現在までの長い付き合いである。
(因みに今は大学生である)
気さくな性格であり、周りからの
信頼も厚い人物であろう。
いやだよ~
結城じゃないと
言うこと聞かないし
ふうーんじゃあな。
俺は、そんなのお構いなしに
教室を出ていこうとする。
しかし、それを夏子は阻止した。
ちょっと、どこいくの!
女の子から呼ばれてるんだよ
モテる奴は違うよな
面目ないといったような表情でこちらを見つめ、
夏子は先程の威勢はどこへやら、
地面に目をやり、静かに話を聞いていた。
圭だってモテるだろ
お前の友達だからだよ。
でも、結城って
彼女作らないよね?
ちょっと、圭!
夏子、いいから
ごめん・・・
ありがとな、夏子
あからさまにしょぼくれる夏子の頭に手を置き
にっこりと微笑むとみるみるうちに頬を赤く染め、
照れた様子で手を払った。
まったく、素直じゃないやつだ。
俺には、召使いがいるしな
夏子は不思議そうに首を傾げた後
・・・早く行ったら?
ありがとな
終始、ずっと見ていた圭だが
状況を呑み込めずに立ちすくんでいた。
随分遅いお帰りですね
待っててくれたんだ
お金はきっちりと
残業代頂きますよ?
容赦ねえよな
結局、圭とカラオケに行ったため
いつもと変わらない遅い帰宅となってしまった。
しかし、いつもはいない家に人がいるのは
なんだか不思議な感じだ。
独身男性が結婚をして初めての帰宅をしたときは
こんな感じに暖かい気持ちになるのだろうか。
それに、大学生だからといって
一人は寂しいかなと思いまして。
本当は、世話焼きな人なんだな
悪い?!それに社長から
言われてるだけだし!
ううん、良かったと思って。
え?
ううん、こっちの話。
一人じゃないという安心感は
幼少期から両親が共働きであまり団らんの機会が
なかったからかもしれない。
だから、こんな些細な事でも
嬉しくなるのだと心を落ち着かせる結城であった。
ありがと、親父。
_____母親
俺は心の中で母に向かって手を合わせた。
結城の過去を知るのはもう少し、後のお話。