あたし

はっ……?

あたし

また、ここだぁ……。








気が付くとアタシは



またレムのいる世界に来ていた。








あたし

そういえば、あの子、どうしたかな…。




アタシは前回来た時にいた




動かない門番さんを思い出して




周りを見回した。


あたし

……いた。

……。










再び















動かない門番さんは



やっぱり微動だにせず佇んでいた。



あたし

そ〜〜。




アタシは門番さんの背中が気になり




おそるおそる




裏側へと回る。





クロヴィス

もぞもぞ

あたし

あ!





コイツはクロヴィスだ。



たしかレムが言ってた。






コイツがお花を刈り取ったって……。



あたし

おまえー!
やめろー!!




アタシは両手を振り回して



クロヴィスを追い払う。








クロヴィス

邪魔しやがっテ……。
覚えてロ…!





クロヴィスは捨て台詞を吐きながら




ふわふわと空へ飛んでいった。



あたし

……大丈夫?




アタシはたたずむ門番さんに




声をかける。






しかし、レムに瓜二つのその門番さんは




変わらず何も反応しない。








ただ、一つだけ前回から




変わっているところがあった。


あたし

あ…増えてる。





ひどく荒らされた背中のお花畑に




何本かの新しい花を咲かせていた。


レム

スコシ モチナオシタ ミタイダネ。

あたし

あ、レム。

レム

オハナ サイタノハ
ウレシイコトガ アッタカラ。

あたし

へぇ……。

レム

デモ ウゴカナイノハ
カンガエル コト ヲ
キョヒ シテル カラ。

ソレ ヤッパリ
アマリ ヨクナイ。

『クロヴィス』 ヲ
ジブンデ オイハラエナイ。

あたし

…そう……なんだ……。

あたし

じーっ……

……。

あたし

誰の門番さんなんだろ。

おねぇちゃんのかと思ったけど、
おねぇちゃん普通にご飯食べてたし、
そんなに落ち込んでる感じはしなかったし…。

あたし

あれ?



おねぇちゃんじゃない、と




思った理由を頭のなかで並べた時、




アタシは少しおかしな事に気がついた。

あたし

おねぇちゃん、〆切前なのに随分しっかり食べてたな……。
この前は……。

おねえちゃん

ちょっと〆切が近くてねー。
食べ過ぎると眠くなるからさ。

あたし

って、言ってたのに。

あたし

しかも、時間も無いはずなのにアタシと一緒にテレビを見て……。















モヤモヤとした不安。




それがどうしても拭い切れない。






レム

コノママ オハナ フエレバ、
キモチ モ アカルク ナルケド、
クロヴィス 二
ネラワレテル カラナァ……。

あたし

レム!

レム

ドウシタノ?

あたし

ひとつ、お願いがあるの。

レム

ドンナ オネガイ?

あたし

アタシがいない間、あの子をクロヴィスから守ってほしいの!

レム

ウーン……。
マモレル トキハ マモルケド、
キミガ コノ モンバンノ
ヒトカラ ハナレルト
ボクモ ハナレチャウンダ……。

あたし

離れなければ……

あたし

離れなければいいんだね!

















意識がぼんやりとしていく。




きっとそろそろ目が覚める。




アタシは目が覚めた後にする事を




強く心に刻むように




何度も何度も念じた。













勘違いだったらそれでいい。




私がおねぇちゃんを守るんだ!























つづく

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