はっ……?
また、ここだぁ……。
気が付くとアタシは
またレムのいる世界に来ていた。
そういえば、あの子、どうしたかな…。
アタシは前回来た時にいた
動かない門番さんを思い出して
周りを見回した。
……いた。
……。
再び
動かない門番さんは
やっぱり微動だにせず佇んでいた。
そ〜〜。
アタシは門番さんの背中が気になり
おそるおそる
裏側へと回る。
もぞもぞ
あ!
コイツはクロヴィスだ。
たしかレムが言ってた。
コイツがお花を刈り取ったって……。
おまえー!
やめろー!!
アタシは両手を振り回して
クロヴィスを追い払う。
邪魔しやがっテ……。
覚えてロ…!
クロヴィスは捨て台詞を吐きながら
ふわふわと空へ飛んでいった。
……大丈夫?
アタシはたたずむ門番さんに
声をかける。
しかし、レムに瓜二つのその門番さんは
変わらず何も反応しない。
ただ、一つだけ前回から
変わっているところがあった。
あ…増えてる。
ひどく荒らされた背中のお花畑に
何本かの新しい花を咲かせていた。
スコシ モチナオシタ ミタイダネ。
あ、レム。
オハナ サイタノハ
ウレシイコトガ アッタカラ。
へぇ……。
デモ ウゴカナイノハ
カンガエル コト ヲ
キョヒ シテル カラ。
ソレ ヤッパリ
アマリ ヨクナイ。
『クロヴィス』 ヲ
ジブンデ オイハラエナイ。
…そう……なんだ……。
じーっ……
……。
誰の門番さんなんだろ。
おねぇちゃんのかと思ったけど、
おねぇちゃん普通にご飯食べてたし、
そんなに落ち込んでる感じはしなかったし…。
あれ?
おねぇちゃんじゃない、と
思った理由を頭のなかで並べた時、
アタシは少しおかしな事に気がついた。
おねぇちゃん、〆切前なのに随分しっかり食べてたな……。
この前は……。
ちょっと〆切が近くてねー。
食べ過ぎると眠くなるからさ。
って、言ってたのに。
しかも、時間も無いはずなのにアタシと一緒にテレビを見て……。
モヤモヤとした不安。
それがどうしても拭い切れない。
コノママ オハナ フエレバ、
キモチ モ アカルク ナルケド、
クロヴィス 二
ネラワレテル カラナァ……。
レム!
ドウシタノ?
ひとつ、お願いがあるの。
ドンナ オネガイ?
アタシがいない間、あの子をクロヴィスから守ってほしいの!
ウーン……。
マモレル トキハ マモルケド、
キミガ コノ モンバンノ
ヒトカラ ハナレルト
ボクモ ハナレチャウンダ……。
離れなければ……
離れなければいいんだね!
意識がぼんやりとしていく。
きっとそろそろ目が覚める。
アタシは目が覚めた後にする事を
強く心に刻むように
何度も何度も念じた。
勘違いだったらそれでいい。
私がおねぇちゃんを守るんだ!
つづく