裕貴達のライブが終わり、俺は楽屋へと向かった。
裕貴達のライブが終わり、俺は楽屋へと向かった。
どうだったよ
ああ、よかった
そこには汗だくになったメンバー達。
1年前までは俺もこうして演奏っていたと考えると懐かしい。
そういや、あの子、お姉ちゃんに似てるね
ボーカルのこいつは真帆の妹だ。
真帆に憧れてバンドを始めたらしい。
杏月ちゃんでしょ?
……そうか?
……付き合ってるの?
そんなんじゃ、ねーよ
杏月か。
ぼた子。
あいつといると居心地はいい。
ちゃんと新しい恋しなきゃだよ。お姉ちゃんのためにも
でも真帆の姿を重ねてしまう。
それはあいつにとっても失礼な話だ。
名前を呼び間違えるとか最低だな。
嫌われてるだろう。
でも忘れられるのは嫌だから、あんなこと言っちまった。
真帆のことも絶対に忘れない。
忘れなければ真帆は死なない。
僕らがもっと真帆さんを支えてあげられてたら……
やめろって!
お前もしかして誰とも付き合わないのって、俺に気使ってんじゃねーだろーな?
一年前。
誠人、そろそろ僕らもバンド組もうぜー
単純にカッコいいから。
そんな理由で裕貴と俺は楽器をはじめた。
裕貴がベースで俺がギター。
ベースってクールだろ! ひそかに一番モテるらしいよー、僕も女たらしな高校生活すんだー
不純な動機。
まあ、モテたいなんてのは中学あがりの男子にとって当たり前の単純思考だ。
ボーカルとドラムどうすんだよ
やっぱ、女ボーカルがいいよねー!
とは言ってもどうやって見つけるんだ。
裕貴の友達にも当たってもらって探すも、なかなか見つからなかった。
なかなかしっくりくる子いないねー
もう男ボーカルでいんじゃねーか?
そんな時だった。
真帆と出逢ったのは。
~♪
河原で歌う真帆。
今思うと、その時から一目惚れしていたのかもしれない。
天使の歌声……
な、なあ!!
?
うちのボーカル、やってくれないか!