一方その頃・・

領主の男

 何?魔女達の家族構成を教えろとな。

メガネの男

 ああ、少々気になってな・・。
 この地の地主のあんたなら詳しく知っているんだろ?

領主の男

 ああ、確かに知っているが・・はて、言う必要があるのか。

メガネの男

 洗いざらいすべてだ、言わなければ上から圧力を掛けるが。

領主の男

 むぅ、情の欠片も無い・・こちらはできるだけの事は尽くしておるのになぁ。
 先ほどの感謝とは何だったのか。

メガネの男

 ふん、つまらねぇことを言うな・・。

 メガネの男は、”アルヴィド”を収める人物から赤ずきん達一家の事を聞きだしていました・・。

 教会の者が赤ずきんの秘密を握るのも時間の問題となっていた。

 舞台は再び赤ずきんの家、”愛”に関わる親子の談話が今まさに始まろうとしていた!

母上

 それで、私に聞く前に赤ずきん・・

赤ずきん

 なに?

母上

 まず、あんたのその・・”愛”についての見解を聞かせなさいよ。

 そう母上は赤ずきんに尋ねました、他人に聞くならまず自分からという話の流れを作り出そうとしての切り出しである。

赤ずきん

 ・・早い話、執着だったかな。

 赤ずきんは静かに口火を切った・・。

母上

執着だった?

赤ずきん

 つまるところ、自分と違う対象に対して強く何かを求めることによって”愛”は芽生える物なのではないかと思う訳。

母上

 確かに何かを好きになるのことが愛情の始まりのひとつね。

赤ずきん

 うむ・・それでだ。
 人間はその、好きになる対象が多い・・異性はもちろん同性まで、動物や無機物・・果てにはそこらへんに落っこちてる石ころまで・・。
 そして、その”好き”が発展して愛となる

母上

 いないとは言い切れないからね・・。
 

母上

 石ころ・・?ま、まぁいないとは・・。

 わずかな疑問を抱きつつも、母上は了承した。

赤ずきん

 それでよ

母上

ここから本題ね・・!

赤ずきん

 私は科学が狂おしいほどに好きなのよ!
 そりゃあもう!24時間っ!ずっと科学ちゃんのこと忘れられないダカラーーってぐらい!

母上

あ、赤ずきんさん・・?

 突如として始まる赤ずきんの暴走・・しかし最後のダカラーは棒読みだったので「話を割ってでも止める程でもない・・こいつはまだ内心冷静だ!」と母上は瞬時に悟った。

赤ずきん

 私が求めるに求めて研究を続けて成果を出す度、求めるに結果を出してくれる”彼”に私は快感まで覚えていたかもしれないっ!!

母上

 嫌、彼って・・待て待てぃ。

 彼、つまり・・科学というものは赤ずきんにとって恋人と同等以上に身近な存在だったのでしょう・・。

赤ずきん

 そう、このような執着によって激情の如く湧き出る感情こそがヒトの”愛”のすべてだと私は思っていた・・。

母上

 過去形なのね赤ずきん・・あなたはすでに何かに気付いたのね・・最初に言った”だった”意味はここからか。

赤ずきん

 それが昨日の晩、すべてが淘汰されてしまった!

母上

まさか!?

 事件は昨晩に起きていた母上に衝撃が走る、だが母上には赤ずきんの考えを変えた原因が分かっていた、というか誰しも話の流れで感が付くのであろう・・。

赤ずきん

 ハハウェ・・貴様の執筆した相思相愛を描いた、そりゃあもう、”ぬっちょぬっちょ”で”ぐっちゃぐっちゃ”の恋愛小説によってな・・。

 まるで諸悪の根源のような言いぐさである、母上には何の罪も無いが。

母上

 意外と純情だったのね赤ずきん!!
 ってか表現悪いよ!!

赤ずきん

 お、教えてくれ母上!!
 ”愛”とは何だ、互いの愛が絡まり合い、まるで出口の無い迷宮(ラビリンス)のように・・相手の感情に迷い続けなければならないのかーー!
 

 言い切ると・・赤ずきんはその場に崩れ落ちた。
 ようするに、昨晩赤ずきんは大人への階段を不意にも上ることになったのだ。
 だがそれによって、赤ずきんは何かに気付かなければならないことを意味していた。
 

 すると、話を聞き終えて母上が優しく赤ずきんに声をかけた・・。

母上

顔をお上げ赤ずきん!!

赤ずきん

!?

 母上は何を赤ずきんに語るのか・・そして、再び魔の手が赤ずきんに迫っていた・・。

???

ヒヒッ・・臭う・・臭うぞ・・。

~第一話-【3】へ続きます~

第1話-【2】Let'sら love talk

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