”隣人愛”・・・
それはかつての偉人が説いたとされる、不変にして不朽の愛の形、周りの価値観に囚われず無償で相手を思う事。
その思いが、人々の”格”を取り払い平等に同じ視点で平和へと向かう世界をへと変える希望として広まっていった・・。
”隣人愛”・・・
それはかつての偉人が説いたとされる、不変にして不朽の愛の形、周りの価値観に囚われず無償で相手を思う事。
その思いが、人々の”格”を取り払い平等に同じ視点で平和へと向かう世界をへと変える希望として広まっていった・・。
しかぁし、人間の文化が進歩して行くに従って、人々の心もまた変化することは必然だった。
・・・それは社会の最先端を進むための競争心、もっと深く物事を探るための探求心、より強い快楽を得るための好奇心など・・・多肢に亘り強くなり、より感受性、独創性の持った個性を形成していった。
そう・・人々の心は時代の流れに沿ってより深みを増していったのである。
それに伴って、底が知れない他人の感情に疑心暗鬼、より強い興味を抱いたり、時には怒りを高ぶらせてしまうのも人間の性・・当然、感情の浮き沈みも激しくなっていく。
深く、広くなっていく人間の心・・。
我々人類は遠くなる心に理解することを苦しみ互いを恐れ、新たな争いの歴史を刻み続けるのか・・。
常に新しい一歩を歩み続ける我々、進化は止まらない、人間は”業”
人は平和より、戦争を好む・・?
いや・・人々の未来が非常に振り下ろされた死神の鎌に両断される以外はそれは無い・・と私は過程する。
なぜなら、限りない進化は夢見たいが・・人は限りある存在、その感情にも限度は在ると思われる。
いつか、すべての感情は語られるものとなるそんな発明がすべての人が共感し合うような”平和の暴力”の如く人間に平等な愛の形を実現するのだろう・・。
・・・まぁ、そんな世界私は真っ平ごめんこうむりたいけどね・・w
”狼”がおばあさんの家を襲撃して5日が過ぎた。
赤ずきんを取り巻く環境は元の日常へは遥かに遠ざかっていた・・。
失礼するぜ・・。
おや、重症のようだが。
もう歩いてもよろしいのかな?
ああ、いつまでも寝てられねぇ。
ふふ、そうかね。
ならば止めもしまい・・君の判断で動くといい。
そうさせてもらうぜ、手厚く処置をしてもらった事には感謝しておくよ。
しかし府に落ちねぇ・・。
あのガキのチカラは一体なんなんだ?
精々薬草いじりするだけという教会の情報はなんだったんだ・・。
完全に監視の段階でミスってるんじゃねえかバカヤロウ!!
このとおり、教会の傭兵”狼”はこのあたりで潜伏を始め。
赤ずきんの家の周辺では教会関係者の監視が本格的に始まっており、いつ何が起きてもおかしくはない状況になりつつあったのだった・・。
・・・ところ変わって赤ずきん宅では・・。
おはようございます、母上!
そんな不安をかき消すかのように赤ずきんが明るく母上に挨拶した。
あら赤ずきん、今日は早いわね。
ちなみに、今の時間は午前9時・・早い起床とは言い難いが、読書や魔術研究で一晩中起きていることもある赤ずきんにとっては比較的早く起きたといったところ・・。
台所の鍋あるでしょ?
それにスープ入ってるから、それとパンでも食べてちょうだい。
はーい
そう言いながら赤ずきんは台所へと向かって行った。
そして、慣れた手つきで棚から食器とおたまを取り出してスープをかき混ぜ始めた。
スープがぁ♪冷えているのよぉ♪
冷製スープを冷静に盛ぉりつ・け・る♪
昼まで起きないだろうと母上が決めつけていたのか、作ったとき温かったスープはすでに冷め切っていた。
暖炉で温めたいと言えば快く許してくれるのだろうが・・・いちいち火をつけるのも面倒なので赤ずきんは今、冷めたスープをダジャレをリズムに乗って口ずさみながら若干小躍りしつつよそっていた。
・・・その姿はとてもシュールであるw
パン・投入!
そして、深めの器に盛ったスープにパンを入れ、台所から戻ってきた。
では、いただきます。
ゆっくりお召し上がりください。
これが、いつもの2人の朝の風景である。
そういえば母上?
なに?
今日母上、グランドマザー宅行くんだっけ・・・グランドマザー元気にしてる?
おばあさんは元気よ、5日前の事から何か吹っ切れたみたいで、熱心に新しい研究に取り組んでいるわ。
数年前のおばあさんに戻った感じね、病弱で弱気なおばあさんはどこへ行ったのやら・・。
ふぉうか、ふぉうか・・。
お元気そうでなによりですよ。
・・・時に母上・・、
”愛”とは一体なんなんだろう・・。
どうしたのよ、いきなり神妙な顔をして・・。
いや、夜中に母上の書斎から研究に役立ちそうな本を拝借しようとしたところ、一冊の小説を見つけて・・。
小説・・?
・・・・・まさか・・!!
そう言うと、母上はドタドタと大急ぎで自らの書斎へと向かって行った。
少し物音がした後静かになり、まるで連行寸前の容疑者の如く、げっそりとした表情で母上は戻ってきた
読んだの・・全部。
”君を永遠に愛し続けると誓うよ、尽きぬ愛で君の心を燃やし続けるあ・げ・る♡”
ウガアアアアアアア゛
その小説の一つのセリフなのか、赤ずきんはそのセリフを言った瞬間 、母上は強烈な奇声を挙げその場に崩れ落ちる・・セリフから察するに、内容は恋愛小説といったところか。
数秒の間を置いて、母上は起き上がった・・まるで生まれたての小鹿のようにプルプル震えながら・・。
見たのね・・見たのね!!・・私の書いた、あの小説を・・!!
落ち着け母上、同じ屋根の下住むもの同士・・ここは穏便に済ませよう・・な!
私も、別に小説の話しようとした訳じゃないし!
うう、それで・・何故”愛”について語り合おうとしたのよ・・。
いや、単なる好奇心だったりする。
語り合おうぞ母上♪
分かりました、おばあさんの家行く時間までだからね。
~第1話-【2】へ続くぞ!